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エアライフル 基本的なこと すべての銃は、銃刀法に定められた方法(固定された専用のガンロッカー等)で保管しなければならない。AR弾については特に装弾ロッカー等は必要ないが、常識的に鍵のかかる引き出し等に保管するべきである。 銃の状態に気を使うなら、「銃にストレスのかからない」保管方法をとることが重要である。銃ケースから出し、ガンロッカーに銃口を上に向けて立てる。ハードケースなら横に寝かせて保管しても良い。 ラッチを解放することで、撃鉄やゴムパッキンの負荷を減らせる。圧縮空気式にあっては、エアシリンダーを緩めるか取り外して、接続部の負荷を減らす。 また、ロッカー内に大型の除湿剤を入れると、鉄製部分の腐食や木製ストックの劣化を防ぐことができる。 メンテナンス 銃身の外側は、湿気によって錆が生じる。これ自体が精度に影響することはないが、見た目が悪いのでこまめに布で拭いた方が良い。銃砲店に行けば専用のオイルが手に入るが、銃内部の注油も含めて「クレ5-56」等で代用できる。 ただし、ラッチやシリンダーの内部に油分が入ると、ディーセリング(燃焼現象)でゴムパッキンがやられるので注意。ポンプ式の場合、銃身内のパッキンにバウのスペシャルグリスを年1回程度使用する。詳しくは、エニスの解説を参照。 オーバーホールは、年に1回は必要と言われる。学生の金銭事情を考えても3年に一度、あるいは後輩に銃を譲る前などに行うべきである。特にポンプ式の場合は、パッキンに使用しているグリスが銃身内に煤を発生させるので、定期的なオーバーホールは重要である。 圧縮空気式について エアシリンダーに不可避な問題として、内部に水分が取り込まれることで水滴が生じ、接続部を錆びさせることがある。特にハンドポンプで空気を補充している場合に顕著である。保管の際はエアシリンダーを取り外し、引き出しなどに水平に寝かせることで、水滴が発生しても接続部に水が溜まるのを防ぐことができる。 スモールボアライフル
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『ゆっくり退化していってね!8』 29KB 観察 考証 差別・格差 赤ゆ 都会 現代 退化 「まりちゃでちゅっきりちてくだしゃい!」 建物の陰で、一匹の薄汚い赤まりさが必死の形相で叫んでいた。 「おねがいでしゅ!まりちゃでちゅっきりちてくだしゃい!ちゅっきりちてゆっくちちてくだしゃい!ちゅっきりできましゅ!」 餌を恵んでくれるよう頼んでいるのではない。 ダンスやお歌でゆっくりできるとアピールしているのでもない。 なんとこの赤まりさは、自分からすっきりするように誘っているのだ。 集団自殺以後、こうしたどの群れにも属さないはぐれ売ゆん婦が多く見られるようになってきた。 「まりちゃはどんなことでもしましゅ!まみゅまみゅでもあにゃるでもしゅきなほうをちゅかってくだしゃい!おとくでしゅ!」 赤まりさはすっきりと引き替えにご飯が欲しいとわめき立てる。 汚く、浅ましく、卑しく、見るだけで気分が悪くなるゴミ饅頭が道ばたで騒音を発している。 ぼろぼろの帽子と外見を見れば、誰だろうとこいつが孤児だと察するに違いない。 「だれか……だりぇか………だりぇかまりちゃでちゅっきりちてくだしゃい!くだしゃい!くだしゃい!ごはんしゃんくだしゃい!おにぇがいでしゅ!」 赤まりさは、橋から蹴落とされて溺れ死んだまりさとれいむの生き残った子どもだった。 あれから二匹は親の後を追って飛び込まず、恐くてその場から逃げ出した。 赤ゆっくりの視力と聴力では考えられないことに、赤まりさと赤れいむは両親の死を目と耳に焼き付けた。 どんな時でもゆっくりしていて、みんなを温かく包み込んでくれた優しいお母さん。 家族のためにいつもご飯を探してきてくれた、頼りになるゆっくりしたお父さん。 二匹が水の中で、たくさんのゆっくりたちと一緒にもがきながら沈んでいくのを見届けた。 苦しんで苦しんで、あんなに苦しむ必要がどこにあるのかと聞きたいくらい苦しみぬいてから、お父さんとお母さんは溺れ死んだ。 最愛の両親が、自分たちを残してこの世からいなくなるのを理解してしまった。 「やじゃぁぁああ!やじゃぁ!やじゃやじゃやじゃやじゃぁああああああ!あああああああ!あああああああああああ!」 「ゆんやぁぁああああ!おとうしゃぁぁあん!おかあしゃぁああん!ゆんやぁ!ゆんやぁ!ゆんやあぁああ!ゆびゃあああああああ!」 想像を絶する苦悶を見せつけられた二匹は、絶叫して走り出した。 死にたくなかった。死ぬのだけは恐かった。 お父さんとお母さんのように、永遠にゆっくりするという表現とはかけ離れた死に方で息絶えるのは絶対に嫌だった。 二匹は泣きながら、なんとしてでも一緒に生きていこうと誓ったのだった。 「むーちゃ…むーちゃ……おぶぇぇぇ!ぶぼっ!ぶぼぇっ!にぎゃぃいいいいいい!にぎゃいよぉぉおおお!きもちわりゅいよおぉお!」 「むーちゃむーちゃ………えげぇぇぇ!えげぼげぇぇぇええええええ!くりゅちい!まりちゃのあんこしゃん!くりゅちいぃぃいいいいい!」 「おちびちゃんたち………にがいけどがまんだよ…………。くるしくて…いたくて……きもちわるいけど……ほんのすこしだけたべるんだよ…………」 しかし、浮き世は赤まりさと赤れいむの健気な誓いなど知ったことではないと言わんばかりに冷たかった。 激痛を生む日光に怯えて道路をさ迷っても、おいしい餌などどこにもない。 ぎりぎり致死量に達しない微量を食べる野良ゆっくりと一緒に雑草を噛んだが、あまりの苦さに二匹は口から餡子を吐いた。 「おにぇがいでしゅ!おにぇがいでしゅ!れいみゅに!ごはんしゃんくだしゃい!ちょっとでいいんでしゅ!ひとくち!ひとくちでいいんでしゅ!」 「まりちゃのおねがいでしゅ!まりちゃいいこでしゅ!とってもゆっくちちてるゆっくちでしゅ!だかりゃごはんしゃんくだしゃい!くだしゃいなのじぇ!」 「はああああ!?むれのゆっくりでもないくそがきがなにいってるのおおおおおお!ここはれいむたちのなわばりなんだよ!さっさとかえってね!」 「しつけのなってないいなかものね!かえって!みてるだけでこっちまでゆっくりできなくなるわ!にどとこないで!」 人間のガードの緩いゴミ捨て場は、既にタフな野良ゆっくりたちの群れの縄張りになっていた。 ここを警護している野良ゆっくりたちは、一匹残らず全身が傷だらけだ。 人間に虐待された傷ではない。 貴重な餌場を奪おうと、ほかの群れの野良ゆっくりたちによる襲撃を常に受けているのだ。 二匹はなおも頼もうとしたが、突如攻めてきた別の群れの野良ゆっくりたちに恐れをなして逃げ出した。 「ゆっくち……れいみゅも…なかまにいれちぇにぇ……いっしょに…にんげんしゃんに……………ごはんしゃん……………」 「まりちゃ……なんでもしゅるのじぇ……おうた………だんしゅ………いっぱい…できるのじぇ………だかりゃ……」 「ごめんにぇ……ありしゅたちで…もうこじきしゃんはいっぱいにゃの…………」 「これいじょうゆっくちがふえたりゃ……ごはんしゃんがなくなりゅって………おとうしゃんがいってたよ………だみぇだよ……」 「ありしゅ…れいみゅ……いこうにぇ……にんげんしゃんに…………おにぇがいしちぇ……ごはんしゃん……もらおうにぇ……」 赤まりさと赤れいむの頼みを、飢えて頬のこけた赤ゆっくりたちは拒絶する。 乞食も満員だった。 ただ人間に慈悲を請うだけの物乞いだが、ゆっくりが安全かつ効率よく乞食をできる場所は限られている。 そこはすべて他の群れの赤ゆっくりによって占拠され、赤れいむと赤まりさを受け入れる余裕はなかった。 ただでさえ少ない人間からの施しは群れのみんなに分配され、一匹の腹を満たすことは到底できない。 そんな状況下で、孤児となった二匹を受け入れる野良ゆっくりがいるはずがない。 飼いゆっくりから餌を恵んでもらう方法は、もはや娼ゆしかない。 運の悪いことに、二匹は売ゆんで稼ぐ群れに出会うことがなかった。 路地裏ですっきりしている飼いゆっくりが、相手の野良ゆっくりにゆっくりフードを払った光景を目にしただけだ。 群れに所属することなく、勝手に売ゆんをして日銭を稼ぐはぐれ売ゆん婦に二匹は堕ちた。 一日ずつ交代で二匹は仕事をする。 朝から晩まで叫び続け、薄汚い赤ゆっくりですっきりする物好きな飼いゆっくりの注意を引こうとする。 赤まりさと赤れいむの姿はサディスティックな欲望をかき立てられるらしく、いやらしい笑みを浮かべた飼いゆっくりが時たま客となった。 二匹のまむまむはほぼ開いたままであり、普段隠れているはずのあにゃるもはっきりと分かる程広げられている。 体格にあまりにも不釣り合いなぺにぺにを受け入れた末路だ。 すっきりさせられれば、嫌でもにんっしんっしてしまう。 赤ゆっくりの体で妊娠すれば、餡子の栄養をすべて実ゆっくりに吸い取られて死ぬことは確実だ。 どう足掻いても、赤まりさと赤れいむに子どもを育てる余裕はない。 実ゆっくりは壁に額を擦りつけて茎を折り、胎生ゆっくりはやはり壁に腹を何度もぶつけて体内で殺す。 汚らわしいゆっくり殺しの罪を、二匹は日常的に行っているのだ。 これが、ゆっくりたちの間で売ゆん婦が嫌われる最大の理由である。 「れいみゅ………れいみゅぅぅぅぅ………まりちゃ…がんばっちぇごはんしゃんをもらうのじぇ……いっちょに…ゆっくちするのじぇ………」 毎日ろくに食事にありつけない二匹の体は、いまだに赤ゆっくりのままである。 それでも、二匹は売ゆん以外で生活できない。 だが、世間はそうやって二匹が生きていくことさえ許さないようだった。 昨日のことだ。 「ゆっ…ぐ…ぢ………ただ…いま…だ…よ…………まり…しゃ………れい…みゅ……かえっちぇ……きぢゃ…………よぉ…………」 「れ…れい…みゅ………?れい…みゅ?……れいみゅぅううううううううううううう!?れいみゅ!れいみゅぅ!ひどいのじぇ!いちゃいいちゃいなのじぇぇぇぇ!!」 「……ゆっぐ………いちゃ…い……よぉ…………いちゃい…いぢゃいぃ………よぉ……おみぇみぇ…あちゃま……まみゅまみゅ…あにゃる……ぜんぶ…いぢゃいぃぃぃ…………」 帰ってきた赤れいむを見て、赤まりさは絶叫した。 一瞬誰が帰ってきたのか分からなかったほど、れいむは痛めつけられていたのだ。 全身が傷だらけで、特に商売道具のまむまむとあにゃるは執拗に傷つけられ小石を詰め込まれていた。 赤まりさの所まで帰ってこられたのが不思議なくらいだ。 赤まりさは誰がそんなひどいことをしたのかと問いただしたが、もはや赤れいむは全身の激痛で朦朧としていて答えは聞けなかった。 今も痛みに泣きながら帰りを待つ赤れいむのためにも、赤まりさは客を取らなければならない。 「かいゆっくちしゃん!まりちゃでちゅっきりちましぇんか!まりちゃでちゅっきりできましゅ!ちゅっきりちたいでしゅよにぇ!」 叫ぶ度に赤まりさの目から涙がこぼれる。 あまりにも堕落した自分の境遇が耐えられない。 すっきりという神聖なゆっくりできる行為を、商売にしている自分はとてつもなくゆっくりしていないとよく分かる。 「おそらのうえのゆっくりぷれいす」にいる両親が悲しんでいるだろうと思うと、赤まりさの餡子は悔しさと悲しさでいっぱいになる。 両親がそろっていて、姉まりさと姉れいむがいて、幸せだった頃のことが夢のようだ。 あの時は毎日が楽しくて、とてもゆっくりした日々が過ぎていった。 辛いことや悲しいこともちょっとだけあったけど、家族そろってがんばれば簡単に切り抜けられた。 そのご褒美に、たくさんのゆっくりが赤まりさたちには与えられていたはずだった。 楽しく両親と一緒にピクニック。 おいしい取れたての草を食べて、デザートにちょっとだけお菓子もある。 れいむはお歌を歌い、まりさはダンスを披露する。 近所のゆっくりや飼いゆっくりと一緒に談笑し、「これからもいっしょにゆっくりしたいね!」と言ってほほ笑み合う。 そんな日々があったはずだ。 本当にあったのだろうか? 毎日繰り返されるゆっくりなどかけらもない辛い日々は、赤まりさの記憶からゆっくりできたもの、かけがえのないものを奪っていった。 今の赤まりさには、何も残っていない。 ただ今日を生きるためだけに、体を売って餌をねだる汚らしい野良ゆっくりに餡子の髄まで染まっていた。 「まりちゃはちゅっきりだいしゅきでしゅ!だれでもいいからちゅっきりちたいでしゅ!いっぱいいっぱいちゅっきりできてゆっくち~!」 「なんなの……このきもちわるいゆっくりは…………」 「すっきりがだいすきだって………おちびちゃんなのに……あたまがおかしいわ………」 「はやくいこうね………きぶんがわるくなっちゃうよ………ゆげぇ………」 道を行く飼いゆっくりたちのほとんどは、まりさの卑しい呼びかけに軽蔑の眼差しを向ける。 赤ゆっくりの癖に、大人のゆっくりにすっきりをねだるのだ。 飼いゆっくりが不気味に思って当然である。 「…………まりしゃ………ゆっくちちていってにぇ…………」 目を血走らせて客を引く赤まりさの前で、一匹の赤れいむが立ち止まった。 哀れな赤まりさの姿を見て、赤れいむは小さな眉を寄せる。 (ゆわあぁぁ………きれいな…れいみゅなのじぇ…………いいにおいがしゅるのじぇ……しゅごく……ゆっくちちてるのじぇぇぇ…………) 赤まりさはしばし自分の仕事を忘れて、その赤れいむに見入ってしまった。 飼いゆっくりなのは一目瞭然だ。 真っ赤なリボンにはほつれや染みなど一つもなく、親に舐めて綺麗にしてもらっているのがよく分かる。 栄養状態のいい、ふっくらとした頬からは、ほんのりと甘い匂いが漂ってくる。 真っ黒な髪の毛とつぶらな瞳。 何から何まで惨めな赤まりさとはかけ離れた、リッチな赤れいむが赤れいむを見ていた。 「おちびちゃん?どうしたの?なにかあったの?」 赤れいむが立ち止まったのを、側にいた親れいむが気づいた。 「おかあしゃん……このまりしゃ…どうちて……しゅっきりちたいっていってりゅの?」 赤れいむの質問で、初めて親れいむは赤まりさの存在を認めた。 じろりと成体のゆっくりににらまれ、赤まりさは「ゆぴっ!」と悲鳴を上げて縮こまる。 親れいむはしばし赤まりさを見ていたが、「孤児のまりさ」と「すっきりしたいと言っている」という語がようやく頭で結び付いたらしい。 親れいむの表情が急変した。 「おちびちゃん!そんなゆっくりにかかわっちゃだめだよ!よごれちゃうよ!きたないよ!びょうきがうつっちゃうよ!ゆっくりできなくなるよ!」 露骨な嫌悪だった。 赤まりさの顔に、親れいむの口から吐かれる唾と罵声との両方がまともに浴びせられる。 汚れる。汚い。病気がうつる。ゆっくりできなくなる。 赤まりさの心に、深い傷がざくざくと刻まれていく。 お前なんかいなくなれ。お前がいるとゆっくりできない。お前なんかゆっくりする価値がない。 赤まりさは声も出せずに、目から涙をこぼして震えた。 一言一言が、赤まりさの餡子を痛めつける。 徹底した罵倒に、赤まりさは物理的に痛めつけられているかのような反応をする。 「ゆぁ……………………わかっちゃよ…………………………」 赤れいむは悲しそうな顔で赤まりさを見ると、身を翻して跳ねていった。 赤まりさはその綺麗な後ろ姿を、涙で潤んだ目で追うことしかできない。 一緒にほっぺたをくっつけて「しゅーりしゅーり!」してみたかった。 ちょっとだけ赤れいむに自分の顔を「ぺーりょぺーりょ!」してもらいたかった。 あんなに素敵な赤れいむとそれができたら、どんなにゆっくりできただろう。 せめて、ほんの少しだけお話がしたかった。 言葉を交わして、最後に「ゆっくりしていってね!」って言って欲しかった。 できれば、辛い今の状況を分かってもらって、慰めてもらいたかった。 本音を言うなら、自分と赤れいむを家に連れて行ってもらって、一緒に飼いゆっくりになりたかった。 そうしてもらえたら、どんなにゆっくりした気持ちになれただろう。 そんな赤まりさの小さな望みは、すべてぶち壊された。 触ってもらえるはずがない。 赤まりさの外見は赤れいむとはかけ離れた、生きたうんうんのようなものなのだ。 お話しできるはずがない。 赤まりさはただの惨めな野良ゆっくりで、赤れいむは貴族の令嬢とでも言うべき飼いゆっくりなのだ。 慰めてもらえる?身の程をわきまえて欲しい。 赤まりさは、野良ゆっくりでさえ軽蔑する、すっきりを売り物にした最下層の売ゆん婦なのだ。 ましてや、売ゆん婦の分際で飼いゆっくりにしてもらいたいとは。 赤れいむの親が罵倒するのも無理はない。 ちょっとでも仏心を見せれば、ゆっくりはすぐにつけあがる。 こんなまむまむもあにゃるも開きっぱなしの吐き気がするゆっくりを家に連れて帰ったら、飼いゆっくりの方が捨てられかねない。 赤まりさは赤れいむとその親にとっては、ただの不潔な疫病神でしかないのだ。 「にどとおちびちゃんにこえをかけないでね!すっきりがだいすきなへんたいゆっくりなんか、おちびちゃんはだいきらいだよっ!いますぐしんでいいよっ!」 親れいむはまだ名残惜しそうに赤れいむを見ている赤まりさに、とどめの一言を浴びせてから背を向けた。 一方的に惚れて、赤れいむに付きまとうようになっては困る。 はっきりと近寄らないように釘を刺したのだ。 それはまだ幼い赤まりさの心に、癒しようのない傷を作るのに十分すぎるものだった。 「ゆぐっ……ゆえぇ……まりちゃだって…まりちゃだってぇ……こんにゃの…いやなのじぇ………ゆぇぇぇぇぇん……………」 二匹がいなくなると、赤まりさは泣きじゃくった。 ただひたすら、惨めで悲しかった。 ささやかな幸せさえも味わえない自分の境遇が、悔しくて仕方がなかった。 目の前でゆっくりした赤れいむを見たことと、親れいむに罵られたのがさらに惨めさを倍増させる。 泣き顔を誰かに見られるのが恥ずかしく、赤まりさは帽子の中に潜り込むかのようにして顔を隠す。 こんな無様な自分を、誰にも見られたくなかった。 できることなら、両親にいっぱい慰めてもらいたかった。 ぺーろぺーろしてすーりすーりして、あったかいほっぺたに「ゆんっ♪」とくっついていっぱい甘えたかった。 そうすれば、こんな悲しみなど簡単に吹き飛ばせたことだろう。 今の赤まりさには、慰めてもらえる相手など誰もいない。 商売を中断して帽子を涙で濡らす赤まりさの耳に、なにかが地面にぶつかる音がした。 「ゆっ…ゆぅ……ゆぐぅ…………ゆぇぇ…………?」 ありもしない鼻をすすり、赤まりさはなにかが近づいてきたのかと帽子の中から顔を出した。 甘くて食欲をそそる匂いが漂ってきた。 赤まりさのお腹が大きな音を立てて鳴った。 それまで悲しさと恥ずかしさとで忘れていた空腹が、一気に押し寄せてくる。 思えば、昨日は保存食として取っておいた、カビのびっしり生えたクッキーを半分かじっただけだ。 「ゆっっ!ごはんしゃん!ごはんしゃんなのじぇ!」 赤まりさは涙を忘れて匂いの元にぴょんぴょん跳ねて近づいた。 その茶色い固形物は、ゆっくりフードと呼ばれている。 原料は加工場で大量生産されるゆっくりであり、ゆっくりの好む甘味が量を調整されて含まれている。 あまり甘すぎると、他の食べ物を受け付けなくなってしまうからだ。 保存が利き、持ち歩きも容易で、しかもほとんどのゆっくりにとって好物となる。 この街のゆっくりにとって、ゆっくりフードは主食であると同時に通貨になりつつある。 いまだに雑草をほとんど食べられない野良ゆっくりにとって、ゆっくりフードは共通して欲しがるものなのだ。 一瞬目を輝かせてゆっくりフードに噛み付こうとした赤まりさだったが、動きが止まった。 のろのろと口を閉じ、暗い表情になる。 そこには他のゆっくりに対する怯えと、痛みに対する恐怖がはっきりと表れていた。 仕事だ。 これは前払いの料金だ。 自分はすっきりのために買われたのだ。 「ゆぅ……い、いらっしゃいましぇ……なのじぇ。まりちゃをおかいあげ……ありがとうございましゅなのじぇ…………」 下手糞な口上と共に、赤まりさは不格好におじぎをする。 目を上げた赤まりさの顔が、さらなる恐怖で引きつった。 そこにいるのは成体のありすだった。 髪には立派な金バッジがついている。 これまでの商売で、赤まりさは嫌と言うほど思い知らされた。 ありすは性欲がゆっくりの中で一番強い。 大事なまむまむは、ありすのぺにぺにでめちゃくちゃにされるだろう。 もしかしたら、あにゃるにもぺにぺにを突っ込まれて裂かれるかもしれない。 今日も、激しい痛みと不快感に耐えなくてはいけないのだ。 命の危機さえ感じても、赤まりさはありすを拒否できない。 「ま…まみゅまみゅ……でしゅか……?しょれとも……あにゃる……でしゅか?」 赤まりさははがたがた震えつつも、仰向けにひっくり返った ありすに、自分のまむまむとあにゃるを隅から隅まで見せているのだ。 自分のしていることの惨めさと恥ずかしさで、赤まりさの目に涙が浮かぶ。 しかしありすは、差し出されたまむまむもあにゃるも手を出さなかった。 「おちびちゃん。ありすはどちらもいらないわ。これはあなたにあげるわよ」 「ゆぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」 「かわいそうに。おとうさんもおかあさんもいないのね。これをたべてすこしはゆっくりしなさい」 赤まりさは耳を疑った。 こんなにおいしいものを、自分にくれるとありすは言ったのか。 無料で、何も支払わずに、美味しくて甘いゆっくりフードを食べていいのか。 痛い思いも気持ち悪い思いも、恥ずかしい思いもしなくて今日のご飯が手に入るのか。 みるみるうちに赤まりさの両目に涙が溢れ出し、それは嗚咽と一緒になって流れ出した。 「あ…あ……あああああ……ありがとうごじゃいましゅうぅぅぅううううううう!ゆっくちできましゅ!ゆっくち!ゆっくち!ゆっくちできりゅのじぇぇぇぇ!」 わんわん泣く赤まりさ。 その号泣は今までのような絶望にうちひしがれたものではなく、歓喜と感謝で満ちたうれし泣きになっていた。 まるで両親と再会できたかのように赤まりさは泣く。 久しぶりに、赤まりさの餡子にゆっくりが戻ってきた。 一通り赤まりさが泣き終えると、ようやく金バッジの飼いありすは口を開いた。 口調もゆっくりとしていて、いかにありすがゆっくりした環境にいるのかを示している。 「ありすはね……あしたひっこすのよ。おねえさんといっしょに、しらないまちにいくわ」 それまでゆっくりフードとありすとを見比べて、にこにこしていた赤まりさの顔が曇る。 浅ましい話だが、赤まりさはこれからもありすがゆっくりフードを定期的にくれないだろうかと期待していたのだ。 もしそうしてくれるなら、もう売ゆんのような商売をしないで済む。 赤れいむと一緒に、食べていく心配もしないでゆっくりできる。 もしかしたら、うまくありすに口利きを頼めば飼いゆっくりにしてもらえるかもしれない。 たった数分だけの邂逅で、赤まりさの思考はここまで飛躍していたから恐ろしい。 ちょっとした慈悲でゆっくりフードを恵んでもらえたのに、いつの間にか飼いゆっくりになれるのではと期待しているのだ。 赤まりさの心境を調子に乗っていると断じるのは簡単だが、それほどまでに赤まりさはゆっくりからかけ離れた生活を強いられていたのだ。 しかし、やはり赤まりさの思考は調子に乗っていたと言えるだろう。 「ゆぅ……おねえしゃん……もうあえないのじぇ…………?」 「そうよ。このまちももうみおさめ。だから、おせわになったのらのゆっくりたちにおわかれをいってあるいてたのよ」 ありすは地べたにはいつくばる赤まりさから視線を移し、街の雑踏を見つめた。 この街は希有な街だった。 人とゆっくり、飼いゆっくりと野良ゆっくりが共存したゆっくりした場所だったはずだ。 今この街を訪れたゆっくりにその話をしても、到底信じないことだろう。 貴族のように振る舞う飼いゆっくりと、飼いゆっくりを顧客に何とかしてゆっくりフードを手に入れようと画策する野良ゆっくり。 集団自殺を生き残った野良ゆっくりは、驚くべき早さで人間を真似た経済活動を行いつつある。 かつては仲良くゆっくりするついでに、お礼としてゆっくりフードは与えられていた。 今では、飼いゆっくりと野良ゆっくりはサービスを受ける側と与える側とに二分された。 一度は市民の間でゆっくりを駆除する話も持ち上がったが、結局集団自殺によってうやむやになった。 ゆっくりの数が激減したことだし、わざわざ予算を割いて野良を駆除する必要もないだろう。 そう判断した人々は、ゆっくりに対する態度を以前と変えることはなかった。 ありすの目は、かつてのゆっくりした街を懐かしむかのようだった。 「それじゃあ、ありすはもういくわね。さようなら、おちびちゃん」 ありすは舌でゆっくりフードの塊を赤まりさに押しやり、きびすを返した。 道路の端を歩き、きちんと人間の歩行の邪魔にならないようにしている。 「さようなら……なのじぇ。おねえしゃん……ゆっくちちていってにぇ……」 赤まりさは感謝と羨望の混じった視線で、ゆっくりした金バッジのありすを見送った。 あのありすと自分や傷ついた赤れいむが、同じゆっくりだとはとても思えなかった。 別世界にいるゆっくりの、別世界の生活を見せつけられた気分だった。 「れいみゅ……いっぱい……きょうはおなかいっぱい……ごはんしゃんたべられるのじぇ………」 しかし、赤まりさは惨めさに押し潰されることはなかった。 目の前には、ありすが振る舞ってくれたゆっくりフードがいっぱいある。 約一週間の稼ぎに匹敵する量だ。 これだけあれば、しばらくの間痛みの伴う売ゆんをしないでもゆっくりできる。 傷ついた赤れいむも、いっぱい食べてゆっくりすれば傷も治ることだろう。 ほんのわずかな幸福を、赤まりさは味わっていた。 ささやかでも、ここにはゆっくりフードという確かな形を持った幸せがある。 それは赤まりさのものだ。ありすがくれた、赤まりさたちだけの幸福だ。 赤まりさが、小さな帽子にいっぱいのゆっくりフードを入れようとしたその時。 「おい、そこのちびゆっくり」 「だれにことわって、ばいゆんをしているのかしら」 「ちゃんと、おさにほうこくしたよね?そうだよね?」 赤まりさのささやかな幸福は、あっさりと踏みにじられた。 並んでいるのはまりさ、ぱちゅりー、れいむ。 人間の目から見ればただの薄汚れた野良ゆっくりだが、赤まりさからすればそうではない。 三匹のゆっくりの全身から放たれる、獰猛な気配。 「ゆっ!ゆあっ!まりっ!まりちゃ!まりちゃは!ゆっくち!まりちゃ!なのじぇ!なのじぇええ!ゆんやああっ!ゆぴゃっ!ゆっぴゃぁああああ!」 道を歩いていて、刑務所帰りのヤクザの三人組に因縁を付けられたようなものだ。 これが恐くないはずがない。 赤まりさはわけの分からないことを叫び、下半身からしーしーを漏らしてその場を跳ね回った。 「そんなことをきいてるんじゃないのぜ」 「むきゅ。こんらんしているようね」 両目をぐるぐる回してあらぬ方向を見て叫ぶ赤まりさは、発狂したかのように見える。 単に、あまりの恐ろしさにどうしていいか分からないで混乱しているだけだ。 まりさとぱちゅりーは、無様な赤まりさを見てため息をついた。 気が短かったのはれいむだった。 「ちょっとうるさいよ。しずかにしようね!」 「びゅぎぇぇっっっ!」 恐慌状態の赤まりさの叫び声としーしーが気に食わなかったれいむは、もみあげで赤まりさの横っ面をひっぱたいた。 縄張り争いで鍛えられたれいむのびんたは、そこらの野良ゆっくりのびんたとはワケが違う。 ひとたまりもなく赤まりさは吹っ飛び、壁に頭をぶつける。 「い゙ぃ゙っ゙!いぢゃいぃっ!いぢゃいのじぇぇぇぇぇぇ!」 地面に落下した赤まりさは、顔中を口にしてわんわんと泣き出した。 突然の暴力に、赤まりさのデリケートな心は耐えられない。 そのかん高い泣き声がいらついたようだ。 「ゆぁん!?だからなんだっていうんだぜ!おもてにでるのぜ?」 一歩前に出たまりさが、声音を低くして恫喝する。 「ゆぴぃぃいいい!」 傷だらけの顔を突きつけられ、あっという間に赤まりさは泣き止んだ。 あまりの恐さに、ひきつけを起こしたかのように硬直する。 歯をむき出して固まった上半身とは裏腹に、ちょろちょろとしーしーがまだ漏れていて地面を濡らした。 これでようやく振り出しに戻った。 一呼吸置いて、三匹の中で一番温厚そうなぱちゅりーが口火を切る。 「はなしをもとにもどすわ。まりさ、あなたうちのおさをしってる?」 ぱちゅりーの言葉に、すぐに苛立たしげなれいむが食いついた。 「おさのれいむさまをしらないわけないよね!そうだよね!」 「ちゃんとれいむさまにあって、ばいゆんのほうこくはしているのぜ?」 有無を言わさぬ口調に、赤まりさはさらに怯えた。 何よりも恐ろしいことに、赤まりさには三匹の野良ゆっくりが何を言っているのかまるで分からない。 長。れいむ様。 どちらも初耳だ。 「しらなかったら、ただじゃおかないのぜ。かってにうちのなわばりでしょうばいして、はいそうですかとみのがせるわけないんだぜ」 「むきゅう!おちびちゃんだからってゆるせないわね。これはせいっさいっがひつようかしら?」 「どうなのかな?はやくこたえてね!れいむたちはいそがしいんだよ!」 赤まりさと赤れいむはどの群れにも属していない。 両親のいない孤児ゆっくりなど何の利益も上げないと、どこの群れでも判断されたからだ。 だから二匹は、自分たちだけで売ゆんをしていたもぐりだ。 この三匹にとっては、飼いゆっくりからの貴重なゆっくりフードの売り上げをくすねる生意気な餓鬼でしかない。 「ゆっ……ゆわぁ……ゆわぁあぁ………ゆあぁあああぁぁああぁぁ………」 三匹の野良ゆっくりの脅しに怯える赤まりさ。 下半身からはいまだにしーしーが漏れ、赤まりさの足元に小さな水たまりを作っている。 さっきまでの幸福は消し飛び、恐怖しかない。 答えようによってはただじゃおかない。絶対に二度とゆっくりさせない。 その迫力に赤まりさはがたがた震えつつも、ぎゅっと目を閉じた。 瞼の裏に、ぼろぼろになって帰りを待つ赤れいむの姿が浮かんで消えた。 (れいみゅ……れいみゅ!れいみゅぅぅぅうう!まりちゃがんばりゅのじぇ!じぇったい!じぇったい!ゆっくちふーどをもってかえりゅのじぇ!) 赤まりさは心の中で誓った。 何としてでも、ゆっくりフードを持っていかれるわけにはいかない。 これは赤まりさと赤れいむのものだ。 絶対に、これを守り抜いてみせる。 赤まりさは固い決意を胸に目を見開き叫んだ。 「し……し……しってるのじぇええええええええ!ほうこくちたのじぇぇぇええええ!」 赤まりさは大嘘をついた。 れいむ様なんて長のことは知らない。売ゆんの報告もしてないし、代金の一部を収めてもいない。 それでも、嘘をついてごまかしてみせる。 一世一代の賭けに出たのだ。 下半身を引き締めて何とかしーしーを止め、赤まりさは潤む目で野良ゆっくりたちを見返した。 「ゆあっ!そうだったのぜ。だったらまりさたちのおなかまなのぜ!おちび、おどかしてわるかったのぜ」 「むきゅー。ごめんなさいね。おなじむれならぱちぇとまりさはかぞくみたいなものよ」 「うたがってわるかったよ。ゆっくりしてなくてごめんねっ!なぐったりしてれいむはゆっくりしてなかったよ!」 赤まりさの嘘を、三匹は信じてくれたようだ。 ころっと態度が180度変わる。 たちまち三匹は、まるで旧知の友だちのように赤まりさに話しかける。 まりさとぱちゅりーはすりすりし、れいむに至っては謝ってからもみあげで赤まりさの帽子を撫でることまでする。 「べ、べつに……いいのじぇ…………。まりちゃ……へいきなのじぇ…………」 「ゆっゆー!おちびはちいさいのにどきょうがあるのぜ。まりさきにいったのぜ!」 「まりさ!またこぶんをふやすつもりなの?ちょっとふやしすぎよ!」 「いいのぜいいのぜ。まもるこぶんがいればまりさはもっとゆっくりできるんだぜ!」 「まりさはゆっくりしてるよ!さすがだね。れいむもがんばってこぶんをふやすよ!」 「ゆぅ………………」 三匹の野良ゆっくりは、すっかり警戒を解いたように見える。 赤まりさはほんの少しだけ、三匹が羨ましかった。 自分たちは惨めに地べたをはいずり回り、その日の食事と引き替えに無理矢理すっきりさせられる。 でも、この三匹はゆっくりしている。 なかよしのように見えるし、何よりとっても強そうだ。 赤まりさは自分の無力が恨めしかった。 無力、ということで気づいた。 家に帰らなくてはいけない。 今のうちに、まだ野良ゆっくりたちがゆっくりしている間に、ここから逃げなくてはいけない。 それに気づくと、赤まりさの心に恐怖が蘇った。 三匹の横をすり抜けて帰るのが、とてつもなく恐ろしい。 「もっ、もっ、もう、いいのじぇ?いいの……じぇ?ま、まりちゃ、もう、おうち!おうちかえりゅ!かえりゅのじぇ!」 大あわてでゆっくりフードをかき集め、何度もこぼしながらも帽子に収める。 三匹の視線が自分に向けられていることが分かり、赤まりさは饅頭皮にじっとりと甘い冷や汗をかく。 かちかち歯を鳴らして赤まりさは顔を上げると、三匹がじっとしているのをいいことにダッシュで脇をすり抜けた。 「ま、まりっ!まりちゃは、さ、さ、さよならなのじぇ!ゆっくち、ちていってにぇ!お、おうちかえりゅのじぇぇ!」 やけくそに叫んでまりさとすれ違おうとした時だった。 「ちょっとまつのぜ、おちび!」 「ゆぴっ!」 有無を言わさぬ語調に、赤まりさは硬直した。 まりさがこちらを見ている。 そのゆっくりしていない目と、赤まりさの目があった。 「べつにたいしたようじじゃないんだぜ。ただ、ひとつききたいことがあるんだぜ」 ずり、ずり、と隣のぱちゅりーとれいむが動いた。 巧みな動きで、赤まりさの逃走経路を塞ぐ。 自然と、赤まりさは壁を背にした形を取らされた。 最初の詰問の時と同じ配置になる。 「むきゅきゅ。これくらい、おなじむれのゆっくりならとうぜんしっていることよ」 「ひとつきくけど、れいむさまのおしえてくれたあいことば、いってみてね!」 合い言葉。 赤まりさの目の前が真っ白になった。 知らない。そんなこと知るわけがない。 「かんたんなんだぜ。おちびみたいなあかゆっくりでもすぐにおぼえられたんだぜ」 「そうよ。しっかりといのちがけでおぼえたから、わすれるわけないわ」 「あいことばがいえないはずないよね。れいむさまのむれのゆっくりなんだから。そうだよね!?」 忘れた、とは言わせない三匹の連携。 忘れるわけがない、と先んじて言われてしまえば「わすれちゃったのじぇ」と言い逃れできない。 たとえそう言っても、それは知らないことと同じだ。 「ゆぁぁ……ゆぁぁ…………ゆぁあああああああああああ!!」 今度こそ、赤まりさはどうしようもなかった。 知らないものは知らない。 どう足掻いても、群れの合い言葉とおぼしき言葉は赤まりさの餡子の中にはなかった。 謝らなくてはいけない。 勝手に商売したこと。 三匹を騙したこと。 その両方を、赤まりさは謝罪しなくてはいけない。 「ごめんなしゃい!ごめんなぢゃい!ごめんなぢゃぁぁああああああい!うそでしゅ!まりちゃうそついてまちた!ぜんぶうそでしゅぅううう! しりましぇん!れいみゅしゃましりまぢぇん!あいことばしりましぇん!ほうこくちてましぇん!かってにおしごとちてまちた! ごめんなぢゃい!ごめんなぢゃいなのじぇ!ごめんなぢゃいなのじぇえええええ!まりちゃしらなかったんでしゅ!しらなかったのじぇええええ!」 赤まりさは恐怖で滝のように涙を流しながら、顔を地面に擦りつけて土下座した。 土下座は、両親が健在の頃何度もした。 道行く人間にご飯をもらうために、プライドをすべて捨てて必死にすがるための方法。 赤まりさはそれとまったく同じようにして、三匹の野良ゆっくりに謝った。 「やれやれなんだぜ。そんなにあやまらなくてもいいんだぜ」 「そうよ。まちがいはだれにでもあるんだから。きにしなくていいわ」 「だいじょうぶだよ!れいむたちはおこってないからね!ゆっくりしていいよ」 懸命の土下座と謝罪の言葉がうまくいったのか。 罵声が聞こえてくるものとばかり思っていた赤まりさは、意外な言葉を聞いた。 謝らなくてもいい。気にしなくていい。ゆっくりしていい。 本当だろうか。 何て優しいゆっくりたちなのだろう。 「ゆぐっ……ゆぐえぇ…………ごめんなしゃい…ごめんなしゃいなのじぇ…………」 ぐずりながら顔を上げる赤まりさ。 その顔が引きつった。 ちゅっちゅをする時くらいに、れいむが顔を近づけていたのだ。 その顔はまったくゆっくりしていない。 れいむの目は、赤まりさに対する怒りで燃えていた。 赤まりさは悟った。 自分は、絶対にしてはいけないことをしてしまったのだ。 それも二つも。 勝手に、知らない群れの縄張りで商売をしたこと。 その群れのゆっくりを騙して、その場から逃げようとしたこと。 これから自分は制裁されるのだ。 ゆっくりできないことをした悪いゆっくりとして、いっぱい痛いことをされるのだ。 赤まりさの目から、ぽろりと大粒の涙がこぼれた。 「なんていうとおもってたの?れいむさまをなめきったこのうすぎたないねずみさんのうんうんふぜいがなまいきなんだよ」 れいむはもみあげを振り下ろした。 赤まりさは顔から地面に叩きつけられる。 「ぴぃっっぎぃぃぃ…………!」 それは、凄惨な制裁の開幕を告げるのろしだった。 (続く)
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アニ関辞書 おっさん自重 「サンテレビのCM連投」のこと サンテレビがサンテレビのCM(おっさんのキャラクターが登場する)を連投した時に使われる 蟹(カニ) 「香住の蟹」のこと サンクロに登場する アニ関民に大人気 がしゅこっく 「ガスコック」のこと ガスコック 「ABC朝日放送のクロージング前の短時間番組(CM?)」のこと サンクロ 「サンテレビのクロージング」のこと アニメ番組終了直後のためサンクロまで実況する実況民多数 ちなみに、このサンクロは現行(2004年~)のもの 蛸(タコ) 「明石の蛸」のこと サンクロに登場する アニ関民には不人気(30秒規制の影響と思われる) ぱぱぱ~ 「ガラスの艦隊」のDVD販促CMのこと ABC朝日放送製作番組のためABC朝日放送で長い間このCMが放送されている アニ関民に大人気 二回連続で来た場合のレス数は本編のレス数を超えていた 4時ゲッター 午前4時丁度にレスすることを狙う人達のこと AAによる実質的な点呼になっている
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『少女とゆっくり』 12KB 虐待 小ネタ 赤ゆ 虐待人間 いつもの小ネタです 少女の手の中で、一匹の赤ゆっくりが暴れている。 黒い帽子に金髪の、まりさと言う種類のゆっくりだ。 「やめちぇぇぇぇ!いちゃいの、いやなのじぇぇぇぇぇ!ゆんやぁぁぁぁ!!」 少女は無言で、手に持った赤まりさをスライサーに押し当てる。 赤まりさは体をブリブリと動かし、お下げで少女の指を何度も叩いて、必死に抵抗する。 だが当然ながら、その程度の攻撃では何の抵抗にもならない。 「やじゃやじゃぁぁぁ!かわいーまりちゃに、ひどいこちょしにゃいでぇぇぇ!…?!ゆっぴぃぃぃぃ!いちゃい!いちゃい!いっちゃいぃぃ!!」 少女は赤まりさのあんよを、スライサーでスライスしていった。 本来未熟な赤ゆっくりの体なのだが、勢い良くスライスされている為、赤まりさのあんよは綺麗に切り取られていった。 それは赤まりさにとっては、今まで味わった事のない壮絶な痛み。 あんよの皮が薄く切られていく度に、両目を見開いて体を振るわせる。 スライサーから体を離そうと、必死に身を縮めたり、伸ばしたりをしてみるが、まったくの無意味だった。 「ゆぴゃい!いぴゃい!やめちぇ!やめちぇ!ゆびぇぇぇぇぇぇん!だれか、たすけちぇよぉぉぉ!!」 ゆっくりの体の中でも、一番皮が厚いあんよではあるが、所詮は赤ゆっくり。 あっという間にあんよの皮は無くなり、赤まりさの体が中身ごとスライスされていく。 「ぴゃぴぃ!ぴゃひぃ!ぴゃぴゃぴゃぃ!ゆびゃぁぁぁぁん!」 ようやく少女が手を止めた頃には、赤まりさのまむまむとあにゃるは綺麗に削られていた。 赤まりさは悲しそうに、無くなった自分の底部を眺めて涙した。 「ゆびぇぇ…まりちゃの、すてきなあんよしゃん…まりちゃの、ばーじんまむまむしゃん…まりちゃの、きゃわいーあにゃるしゃん…ゆえぇぇ…」 少女は赤まりさを、興味が無くなったかの様な冷めた目で見つめると、水槽の中に赤まりさとスライスした皮を放り込んだ。 水槽の中には、4匹の赤ゆっくりが入っており、それぞれが、スライスされた赤まりさを見て大騒ぎを始める。 「ゆびゃぁぁぁぁ!おねーしゃぁぁぁん!どーしちぇ、こんなこちょしゅるのぉぉぉぉ?!」 「ひどいよ!れーみゅたち、わるいこちょしてにゃいよぉぉぉぉ!こんにゃのゆっくちできにゃぁぁぁぁい!」 「どーしちぇ、まりしゃたちを、ゆっくちさせちぇくりぇないのぉぉぉぉ?!ゆんやぁぁぁぁぁぁ!!」 「ゆっぴぃぃぃぃぃ!ここはゆっくちできにゃいよぉぉぉぉ!おとーしゃ、おかーしゃ、たすけちぇよぉぉぉぉぉ!!」 赤れいむ3匹、赤まりさ1匹が、スライス赤まりさの周りでゆんゆんと泣き始める。 スライス赤まりさの傷口を舐める赤ゆも居れば、逃げ出そうとして透明な壁を登ろうとしている赤ゆもいる。 少女はその中から、一匹の赤れいむを摘み上げた。 「ゆわーい!おしょら………ゆっぴぃ!やめちぇ、やめちぇぇぇぇ!れーみゅ、おこると、きょわいんだよぉぉ!ぷきゅぅぅぅぅ!!」 こんな時でも、お決まりの文句を口にする赤れいむ。 だが直に状況を思い出したのか、ガタガタと震えながらも、大きく息を吸い込んで膨れ上がる。 そして同時に、揉み上げをピコピコと激しく動かして、少女を威嚇する。 少女はそれを見て楽しそうに笑うと、膨らんだ赤れいむの頬に爪楊枝を突き刺し貫通させた。 「ゆびょい!いちゃい、いちゃいぃぃぃ!これとっちぇよぉぉぉ!ゆびゃぁぁぁぁん!」 赤れいむは泣きながらしーしーを漏らし、更に激しく揉み上げを動かす。 少女は貫通させた爪楊枝を、口のある方にそのままの引っ張っていった。 「ゆっびぃぃぃぃ!れーみゅのほっぺしゃん、さけるぅぅぅぅ!いちゃぁぁぁぁい!やめちぇよぉぉぉぉぉ!!」 赤れいむの頬はブチブチと音を立てて裂け、まるで口裂け女のような状態になる。 少女は、大泣きしてブリブリと体を動かす赤れいむを満足そうに眺めると、引き抜いた爪楊枝を赤れいむの額に突き刺した。 「ゆびゃぁぁぁ!いじゃいぃぃぃ!ゆびぇぇぇぇぇぇん!どーしちぇ、れーみゅをいじめりゅのぉぉぉ!ゆっくちさせちぇよぉぉぉ!!」 額に刺さった爪楊枝を、じっと見つめて大泣きする赤れいむ。 少女はそんな赤れいむに興味がなくなったのか、赤まりさの時と同じように水槽の中に放り込んだ。 放り込まれた赤れいむを見て、早速その周りに集まってくる赤ゆっくり達。 赤れいむの裂けた頬をペロペロと舐めたり、少女の方を睨んで威嚇したり、ゆんゆんとその場で泣いたり。 「ゆぴぃぃぃ!れーみゅぅぅぅ!ゆっくちしゅるんだじぇ!まりちゃが、これをとってあげるんだじぇ!」 そんな中一匹の赤まりさが、口裂け赤れいむの額に突き刺さった爪楊枝を引き抜こうと、爪楊枝を口に咥えた。 少女はそれが気になったのか、その赤まりさを捕まえて水槽から取り出した。 「ゆわぁぁぁ!おしょらを…ゆびゃぁぁぁぁ!やめりょぉぉ!やめるんだじぇぇぇ!まりちゃは、つよいんだじぇ!さわるんじゃないんだじぇ!」 両目を瞑りながらも、お下げで少女の指を攻撃ながら、体をブリブリと動かす赤まりさ。 それを見ていた赤ゆっくり達は、恐怖で体が動かなくなる。 少女はペンチを取り出すと、赤まりさのお下げをペンチで挟んだ。 「ゆぅぅぅ!なにしゅるんだじぇ!まりちゃの、かわいーおしゃげしゃんを、はなしゅんだじぇ!ゆるさないんだじぇ!」 涙目で、少女を見つめる赤まりさ。 少女はそんな赤まりさに笑顔を返すと、お下げを一気に引っぱり引き千切った。 「ゆぴゃぁぁぁ!いっちゃぁぁぁい!まりちゃのおしゃげしゃんがぁぁぁ!ゆびゃぁぁぁぁぁん!!かえしちぇ!かえしちぇよぉぉぉ!!」 引き千切られたお下げを見て、ポロポロと涙を零す赤まりさ。 必死に舌を伸ばしてお下げを取り返そうとするが、少女は水槽に赤まりさのお下げを放り込んだ。 「ゆびぇぇぇぇん!どーしちぇこんなことしゅるのぉぉぉ?!まりちゃは、こんなにかわいーのにぃぃぃぃ!ゆっぴゃい!つめちゃい!やめちぇよぉぉぉ!!」 少女は、ゆんゆんと泣き喚く赤まりさのあんよを、ペンチで軽く挟んで固定する。 そして赤まりさから帽子を奪うと、無理やり口の中に押し込んでいった。 「ゆびゃぁぁぁ!まりちゃのおぼーしかえ…ゆごもごご!ゆげぇ!もごぇ!ぐもも!」 何とか動かせる上体を、ブリブリと震わせて、舌で必死に帽子を吐き出そうとする赤まりさ。 少女はそんな赤まりさの頭を水槽に向けると、ペンチで赤まりさの底部を潰した。 ビチャ! 汚らしい音と共に、赤まりさの両目が餡子と一緒に水槽の中に降り注ぐ。 当然中の赤ゆ達も、赤まりさの餡子を浴びる事になった。 『ゆゆ?!』 赤ゆっくり達は、一瞬何が起こったのか理解出来ずに固まる。 そしてしばらくすると、狂った様に水槽内を跳ね回ったり、泣き喚いたりし始める。 「ゆびゃぁぁぁぁ!ゆっくちできにゃぁぁぁい!れーみゅ、こわいよぉぉぉぉぉ!」 「ゆぴぃぃぃぃぃ!エレエレエレレ!」 口裂け赤れいむは頬から餡子がこぼれるのも気にせず、必死に跳ね回って泣き叫ぶ。 スライスされた赤まりさは、自由に動けないのが余計の恐いのか、歯をガチガチと鳴らして震えている。 まだ何もされていない赤れいむの内の一匹は、餡子を吐き出してガタガタと痙攣をはじめ、もう一匹は涙としーしーを撒き散らして跳ね回っている。 少女は、両目が無くなった赤まりさを水槽の中に投げ入れると、餡子を吐いている赤れいむを捕まえた。 「ゆぶぶぶっ!げりょりょりょ…ゆっ…ゆっ…ゆっ…」 餡子を吐き出しすぎたのか、苦しそうな表情でガタガタと震える赤れいむ。 大分顔色も悪くなっており、このまま放ってくと何時死んでもおかしくない状態だ。 少女はそんな赤れいむの口を無理やり開くと、水槽内に飛び散った餡子と、飛び出した赤まりさの目玉とお下げ、スライスされた赤まりさの皮を、赤れいむの口に押し込んでいった。 「ゆびゅぶ?!ゆげぼごげべぇぇぇ!ぐべべべべっ!ごぼもも!げべっ!ごべぇ!」 赤れいむは突然の事に驚き、両目を飛び出さんばかりに見開いて、苦しそうに涙を流す。 もみ上げをワサワサと動かしながら、必死に身を捩ったり、口を閉じようとするが少女の力には敵わない。 少女は水槽内のゴミを赤れいむの口に一通り詰め込み終わると、赤れいむの口とあにゃるを接着剤で固めた。 赤れいむは、自分が吐いた餡子以外に、姉妹の体の一部を口に押し込まれた事により、体がなすび型に膨らんでいた。 少女はそんな赤れいむを、底部をスライスされた赤まりさの目の前に置いた。 「ゆびぇぇぇぇぇん!れーみゅが、まりちゃのあんよを、たべちゃったのじぇぇぇぇ!!ゆえぇぇぇぇ!ゆっくちかえしちぇよぉぉぉぉ!!」 赤まりさにそう言われ、赤れいむは一瞬驚いたような顔をすると、急に青ざめて口の中の異物を必死に吐き出そうと頬を膨らます。 だが既に、赤れいむの口は接着剤で固く塞がれており、赤れいむがどんなに力んでも、赤まりさのあんよや目玉はおろか、うんうんさえひり出せないのであった。 「ゆびゃぁぁぁん!どーしちぇ、かえしてくれないのじぇぇぇぇ!まりちゃのことが、きらいにゃの?だから、いじわるしゅるのじぇ?ゆんやぁぁぁぁぁ!!」 赤まりさの問い掛けに答える事も出来ず、必死に舌を動かして、何とか吐き出そうとする赤れいむ。 だがどんなに頑張っても動くのは揉み上げばかりで、二匹はお互いを見つめながら涙を流していた。 少女はそんな二匹を観察するのも飽きたのか、水槽の隅で揉み上げで頭を抱えるかの様なポーズをとっている赤れいむの方を見た。 この赤れいむは、先程から水槽の中を跳ね回っていたのだが、逃げ場も隠れる場所もない事を改めて知り、下を向いてガタガタと震えていたのだ。 少女はそんな赤れいむをそっと捕まえると、指で赤ゆっくりの感触を確かめるように、何度も赤れいむの体をプニプニと摘んで遊んだ。 「ゆびゃぶぶぶっ!ゆぴぃ!やべべびょぉぉぉ!かわいーれーびゅがぶぶれぶぅぅ?!ゆびょぶ!」 縦に横に、押し潰されたり伸ばされたりと、体を柔軟に変形させる赤れいむ。 その度に揉み上げをピコピコと動かしてみたり、ブリブリと尻を振って抵抗してみるが、少女は赤れいむの体を弄り回すのを止めなかった。 「ゆべべべぃ!ゆびゃぐぶぶぶっ!ぼうやべでぇぇぇ!…ゆびっ…ゆびっ…ゆびぃ………ゆゆぅ?…しょれ…なーに?」 しばらく赤れいむを弄り回した少女は、電子ケーブル等を束ねるのに使う小型の結束バンドを取り出した。 そしてそれを不思議そうに眺める赤れいむの、目と口の間を分けるような形で、結束バンドを締めていった。 「ゆぴぃぃぃ!やめちぇよぉぉぉ!これとっちぇよぉぉぉ!ゆんやぁぁぁぁぁ!!」 少女は結束バンドが外れないくらいに締めると、一旦手を止めてバンドの先の方を持って赤れいむを振り回した。 「ゆっぴぃぃぃぃ!やべちぇぇぇぇぇ!おしょらをとんでりゅぅぅぅぅ!きょわいよぉぉぉぉぉぉ!ゆんやぁぁぁぁぁ!!」 まるで遊園地のアトラクションの様に、振り回されたり、揺られたりを繰り返す赤れいむ。 恐怖に耐え切れず、しーしを水槽内に撒き散らしながら、大声で泣き叫ぶ。 少女は泣き叫ぶ赤れいむを水槽の丁度真上まで持ってくると、結束バンドを少しずつ締めていった。 「ゆびゅびゅ!くるちぃよぉぉぉ!やめちぇよぉぉぉ!これとっちぇよぉぉぉ!ゆぎゅぅぅぅぅ!!」 体に徐々にバンドが食い込んでいく度に、頭部と底部をブリブリと振りながら何とか逃れようとする赤れいむ。 だが赤れいむの体は、落花生からヒョウタン型に徐々に変形していく。 それと当時に、中身の餡子も行き場を失い、赤れいむの頭部と底部に集まっていく。 赤れいむは白目を剥いて涙を流し、それでも餡子を吐き出さないよう必死に口を閉じている。 だがすでに限界なのは明白で、あにゃるからはうんうんという形で、餡子が少しずつ顔を見せ始めていた。 赤れいむの両頬も、食料を口に含んだリスのようにパンパンに腫れ上がっている。 「ゆぐぐぐぐぐぅぅぅ!ぐるじぃぃぃぃ!ぐぶぶぶぶぅぅ!ゆっくぢ!ゆっぐぢぃぃぃぃぃ!!」 ブチャァァァ!!ビュルルルルッ! ついに限界に達した赤れいむは、絶叫と共に汚い音を立てて、口とあにゃるから餡子を噴出した。 二つの玉のような形をしていた赤れいむの体は、餡子を吐き出すと共にどんどん萎んでいき、ついには萎びたバナナの様になってしまった。 「びゃ…びゃ…もっど…ゆっぐ……ち…………」 ガタガタと痙攣していた赤れいむは、吐き出すように別れの言葉を口にすると、そのまま動かなくなった。 「ゆ?………ゆっびゃぁぁぁぁぁぁ!!れーみゅがぁぁぁぁ!れーみゅがぁぁぁぁぁ!ゆんやぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「ゆっびぃぃぃぃぃ!びゃぁぁぁぁぁぁぁ!!ゆっくちぃぃぃぃぃ!ゆっくちぃぃぃぃぃぃ!!」 赤れいむの餡子を吐き出す瞬間を見ていた、水槽の中のスライス赤まりさと、口裂け赤れいむは、体をグネグネと動かして泣き叫んだ。 口を塞がれている赤れいむは、もみ上げを逆立ててガタガタと震えながら涙を流す。 少女はそんな赤ゆっくりの生き残りと、死んだ赤ゆっくりの残骸を小さな透明ビニール袋に詰め込んだ。 「ゆゆ?きのうのおねーさん!ゆっくりしていってね!おちびちゃんは、わがままいってない?おぎょーぎよくしている?」 「ゆゆ!きのうのやさしいおねーさん!おちびちゃんたちは、げんきでやってるのぜ?ちゃんとおねーさんの、いうことをきいているのぜ?」 公園にやってきた少女の元に、笑顔で跳ねてきた二匹の野良ゆっくり。 二匹はとても幸せそうな顔で、少女に話しかける。 「ん~とっても面白かったけど、ちょっと物足りなかったよ」 少女はそう言うと赤ゆっくり達の入ったビニール袋を、二匹の前に放り投げた。 袋の中には、苦悶の表情を浮かべて死んでいる赤ゆっくりと、助けを求めている赤ゆっくりが5匹分入っていた。 「ゆっぎゃぁぁぁぁぁぁ?!なんなのこれはぁぁぁぁぁ?どぼじでぇぇぇぇぇ?!かいゆっくりになって、ゆっくりくらしてたんじゃないのぉぉぉ?!」 「ゆっがぁぁぁぁぁぁ!まりざのおちびちゃんがぁぁぁぁぁ!!どぼじでこんなこどずるのぜぇぇぇぇ?!おちびちゃんが、なにかわるいことでもしたのかぜぇぇぇ?!」 ビニール袋の中身に気がついて、大声を張り上げる二匹。 少女はそんな二匹にわざと見せ付けるように、赤ゆっくりの入ったビニール袋を踏みつけた。 『ゆっぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!おちびちゃんがぁぁぁぁぁぁ!!』 二匹は声をそろえて、泣き叫ぶ。 少女はその姿を満足そうに見つめると、二匹を大きなビニール袋に詰め込んだ。 「ゆぅぅぅ?!なにをするのぉぉぉ!ここからだしてね!おねーさんは、ゆっくりできないよ!」 「ここからだすのぜぇぇぇ!おちびのかたきぃぃ!ころじでやるぅぅ!ころじでやるんだぜぇぇぇぇ!!」 「え?だって、あなた達のゴミを拾ってあげただけで、飼うとは言ってないわよ?おもちゃと遊んだだけよ?」 『ゆ?』 袋の中でブリブリと体を動かして、少女に罵声を浴びせる二匹。 少女はそんな二匹に優しく語り掛ける。 「ただ、小さいだけあってすぐ壊れちゃったのよ。だから、今度はあなた達がおもちゃになってね♪」 『びゃ?!!』 少女は満面の笑みを浮かべて二匹を見つめる。 二匹は少女の笑顔の裏の闇の気配に気がつくと、歯をガチガチと鳴らして静かに泣き始めた。 完 徒然あき
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「ちびちゃん…ごめんね…ごめんね…まりさ………たすけてあげられないよ………」 まりさは、女の後ろをずりずりとついていくだけだ。 れいむも、相変わらず頬を膨らませて威嚇しているだけで、女に攻撃を加えようとはしない。 女が生き残った赤れいむを無言でつかむ。赤れいむは怯えながら、れいむとまりさに向かって…自分たちをまっ たく助けようとしない、二匹の両親に向かって呪詛を浴びせ続けていた。 「ゆっくちできにゃいおきゃーしゃんはしんでにぇっ!!!!どぉちちぇ…たしゅけちぇくれにゃいのぉぉぉ!!」 どれほどの殺意を向けても、憎しみを込めても、れいむとまりさに女を攻撃することはできなかった。こんな仕 打ちを受けてもなお、二匹にとって、女は優しいお姉さんのまだったのだ。 「ゆ゛ん゛ぎぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!!!!」 女の手の中に赤れいむがいる。徐々に力をかけていく。親指と人差し指の間から、赤れいむの顔が出ており、下 腹部を圧迫されているためか真っ赤に腫れあがっている。ぼろぼろと涙を流し、せり上がってくる餡子を吐かない ように口を固く閉じている。 やがて、歯と歯の間からぴゅるぴゅると餡子が飛び出し始めた。すでにあにゃるからも餡子が漏れているのだろ う。女の小指の辺りから餡子がぽとぽと落ちてきている。 「ゆ゛…ぎゅ…れ゛い゛み゛ゅ…ちゅ…ぢゅぶれ゛…り゛ゅう゛ぅ゛ぅ゛…っ!!!」 圧迫された餡子により、頭の皮が裂け始めた。 れいむとまりさは、それをただ、見ていることしかできなかった。 「びゅぎゅっ!!!!!」 短い悲鳴を上げて、赤れいむの顔の上半分が爆ぜる。勢いよく両方の目玉飛び出し、中身の餡子が弾け飛ぶ。目 覆うれいむとまりさの足元に、我が子の中身がぼとぼとと落ちてくる。 三匹の赤ゆが三匹とも、筆舌に尽くしがたい拷問を受け、むごたらしく殺された。 れいむもまりさも震えていた。理解している。今度は自分たちの番だ。 「…これでも…また赤ちゃんは作ればいいの…?」 女が問いかける。 れいむが顔を横に振った。 「お…おでぇざん…………まり゛ざ…わがんない゛…わから゛ないよ…」 「分からない?何が?」 「どおぢで…やざじいおでぇざんがごんな゛ごど…ずる゛のか…」 まりさが顔をぐしゃぐしゃにしたまま繰り返す。 「どおぢで…な゛ぎながら゛…れ゛い゛むとま゛り゛ざの…ちびちゃんだぢにびどいごどずる゛のが…っ!!!!」 「―――――――――え?」 女はぼろぼろと涙を流していた。 振り返る。鏡台の下には、体を真っ二つにされた状態で潰されている赤れいむと思われる物が転がっている。足 元にはバラバラに切り裂かれた赤まりさの帽子の残骸が。 少しずつ…我に返り始めた。 「おねえ゛さん…ゆっぐり…ごめ゛んなざい…!!れいむ゛…ちびちゃん゛…また、つぐればいい゛、な゛んて…」 女が右手を開く。そこにあったのはぐちゃぐちゃに潰れた赤れいむの下半身。餡子と、赤れいむの髪の毛が女の 指に絡みついて離れない。 「あ…あ…ぁあ…あああああああああああああああああああ!!!!!!!!」 女は自分が取り返しのつかないことをしてしまったことに気付いた。 それにも関らず、れいむもまりさも、女に“ごめんなさい”を繰り返す。 (違う…違う…悪くない………悪くないのよ…れいむも、まりさも…) 耐えられなかった。れいむとまりさに見つめられるのが。女はがたがた震えていた。どんなに怯えても、震えて も自分のしたことは変わらない。 (どうしよう…どうすれば…) 潰してしまったゆっくりは生き返らない。それは当たり前のことだ。この日の出来事は、女と、れいむと、まり さ。この一人と二匹の記憶に永劫刻まれるだろう。 女がれいむとまりさに向き直った。 (……そうだ………。なかったことにしよう………。全部悪い夢だったんだ………) 女がれいむとまりさに歩み寄る。 (全部…悪い夢だったのよ…全部…全部) 七、 女の部屋からゆっくりたちの笑い声が聞こえることは二度となかった。改めて見ると広い部屋だ。女はれいむと まりさとの思い出を一つ一つ消し去るように部屋の片づけをしていた。 台所から餌皿を。 風呂場からタライを。 二匹を思い出させるような物は全部視界から消してしまいたかった。女は全てを忘れようとしていたが、忘れよ うとするということは記憶していることと同じであり、恐らく女の記憶から昨夜の悪夢が消えてしまうことはない だろう。 女はれいむたちの寝床を片付け始めた。 れいむたちに子供ができたときに作って上げたクッションをゴミ袋に入れる。すると、その下から小さな紙切れ が出てきた。 「これは…」 そこには、たどたどしい文字で、 “おめでとう” と書いてあった。 女の表情が変わる。 (まさか……!!!!) 鏡台の中にしまっていた化粧道具入れのポーチから、口紅を取り出す。口紅の蓋を開け中身を出していくと、紅 の部分が不自然に潰れている。 女はその紙切れの文字の横に口紅をクレヨンのように使って一本、線を引いてみた。 色も、線の太さも、同じだった。この文字は、口紅を使って書かれたものだ。…誰が?そんなことは分かり切っ ていた。 これは、れいむから女へのメッセージなのだ。 クッションに刺繍してあった“おめでとう”という文字を見よう見まねで書いたのだろう。 れいむも、女に“おめでとう”と言ってあげたかったのだ。 女は、れいむの言えなかった言葉を抱きしめて、その場に座り込んだ。 「ごめん……なさい……………」 女には、長い間付き合っていた人がいた。 女は近い将来、その男と結婚するだろうと考えていた。 ある日、は“大事な話がある”と言って、女を食事に誘った。 女も、人に“大事な話”をするつもりだった。 二人の間に、子供ができたこと。 一緒にいた時間は長い。 もう結婚してもいい時期だ…少なくとも、女はそう思っていた。 しかし、から切り出されたのは…別れ話だった。 世界が色を失って行くのを感じた。 は、何度も謝った。 “他に好きな女ができた、許してほしい”と。 “それじゃあ…仕方ないわね”。 女はあっさりと折れてしまった。 自身に宿した子供の話を切り出すことができなかった。 怖かった。 にその話をして、自分の子を否定されるのが怖くてたまらなかった。 誰にも相談をすることができなかった。 子の話を聞いて女と結婚することを了承したとしても、もう昔の関係に戻ることはできないだろう。 自分の子供が“望まれて産まれた子供ではない”と思われるのも嫌だった。 親にこの話をして悲しませたくもなかった。 言えなかった。 誰にも。 どうしても、言うことができなかった。 おわり 日常起こりうるゆっくりたちの悲劇をこよなく愛する余きでた。 うん、長ぇ。
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『遠い海から来たゆっくり 彼方からの海流 修正版』 37KB 越冬 群れ 自然界 幻想郷 独自設定 うんしー ぺにまむ 遠い海から~完結です ※「遠い海から来たゆっくり 異郷にて」 「遠い海から来たゆっくり 冬、来たり」 「遠い海から来たゆっくり 蠢動と停止」 「遠い海から来たゆっくり 猛る母性」の続きになります。 遠い海から来たゆっくりシリーズの完結編です。 『遠い海から来たゆっくり 彼方からの海流』 母れいむが、外でやまめと戦ってから十日近くが過ぎた。だんだんと暖かい日が多くなり、どこからか強烈な土の臭いが漂ってくる日もあった。北国の春というのは、穏やかなものではない。粗暴で荒々しい一面を持っている。土臭い臭いと溶ける雪の臭いは、まるで強烈なリズムと熱狂的な音楽で彩られた春の祭典だ。 南国生まれの母れいむは、細かいことは分からなかったが、春が近づいている、すぐそこまで来ている、そのことは空気の臭いと肌触りからなんとなく感じ取れた。 「おきゃーしゃん! またまりしゃにお話してほしいんだじぇ! あったかい海さんの話がいいんだじぇ!」 お話をせがんできたのは、かつてやまめに噛まれて麻痺していた、あの子まりさだった。子まりさは、母れいむの献身的な看護と栄養たっぷりの食糧をたくさんむ~しゃむ~しゃさせてもらったことで、毒は抜け、すっかり元気になっていた。 「ゆゆ~、おちびちゃんは本当に海さんのお話が好きなんだね! いいよ、何度でも海さんのお話をしてあげるよ!」 「海さんのお話はとってもゆっきゅりできるんだじぇ! いつかまりしゃも、海さんを渡っておきゃーしゃんをうまれこきょーさんに連れてってあげるだじぇ!!」 そんなことを言う子まりさに、ゆふふと、母れいむは慈愛に満ちた笑顔を向ける。 そのおうちの隅には、備蓄庫から持ってきたものの、結局食べられなかったオニグルミが転がっている。オニグルミは濃厚な味わいを持っているがとにかく堅く、人間でも熱を通したり、ハンマーとノミで叩き割ることで、やっと中身を食べることが出来るくらいだ。とてもではないが、ゆっくりに噛み砕けるものではない。ここのゆっくり達も、堅果類が全体的に不作の中、ついオニグルミまで拾ってきたものの、食糧として持て余していたというのが正直なところであった。 「くるみさん、みんなのあいどるれいみゅと遊んでね!!」 「ゆっくり! ゆっくりころがるみょん!!」 オニグルミは今ではすっかり、子ゆっくり達の玩具になっていた。こんな無駄な食糧があっても今のところ生き延びられているのは、第一にもみじ達が食糧事情の悪い中、必死に食糧を集めて回ったこと、第二に、南の島から来たまりさによって、海藻が保存食のレパートリーに加わったことが大きかった。 「ゆふふ……れいむのおちびちゃん達、とってもゆっくりしているよ……」 母れいむはオニグルミをボールのようにして遊ぶ、我が子達に目を細めた。寒いが安全な洞窟の中で、母れいむの子ゆっくり達は皆顔色も良く、とてもゆっくりしたゆっくりに育っていた。彼らが遊んでゆっくりしている姿を見るだけで、母れいむはまるで天使に抱擁されているような、ゆっくりした気分になることが出来た。 思えば苦労の連続だった。人間さんによって見ず知らずの寒い土地に連れて来られ、その後、番のまりさには見捨てられた。母れいむを支えてくれるはずの番のゆっくりは、次々と永遠にゆっくりしてしまい、母れいむは自分で「狩り」もしなければならなかった。さなえややまめのような、ゆっくりしていないゆっくりとも戦った。 今、目の前にいるのは、そんなれいむの汗と涙の結晶だった。母れいむは感慨深そうに笑みを作った。 かつて、まだ南の島でゆっくりしていた頃、母れいむが子ゆっくりだった頃、群れの賢者のぱちゅりーから聞いた話を思い出していた。人間さんは、自分の力でゆっくりできる未来を獲得することを「自己実現」と呼ぶらしい。 きっとれいむは、この異郷の地で「じこじつげん」を成し遂げることが出来たのだ。 母れいむは自分のゆん生を誇らしく思うようになりつつあった。だが、満面の笑みを浮かべていた母れいむが、ふと、何か思い出したかのようにしかめっ面を作る。 「ゆぶぅ……れいむは背中がかゆくてゆっぐりできないよ……」 母れいむはごーしごーしと背中をこすり付ける。やまめに刺された部位が痒みを持っているのだ。しかしこすり付けると今度はひりひりと痛み、どうにもやりきれない傷にい~らい~らだけがつのっていった。 同じくやまめにやられた子まりさの傷はすっかり回復していたのだが、子供と成体の差であろうか? れいむの傷はなかなか治らず、打ち込まれた毒が抜けていないのか、時折なんとも言えぬ痛みや虚脱感に襲われることすらあった。 「……れいむのおちびちゃん達はみんな元気だよ……」 ひょっとしたら、自分の寿命がゆっくりと近づいているのかもしれない。それならそれでいいと思った。誰の助けもない中で、自分の手でここまでおちびちゃん達をゆっくりさせてきたのだから。 でも、できることならば、おちびちゃん達が誰か素敵なゆっくりと、ずっとゆっくりしようと決めて独り立ちするまで、彼らの成長をゆっくり見守ってみたかった。 「ゆぅ……今日はもう眠いよ……」 母れいむはまだ昼間だと言うのに眠くなって来てしまった。最近、疲れが溜まりやすくなった気がする。ただし、食欲だけは旺盛だった。 「おちびちゃん! お母さんはちょっと疲れたからす~やす~やするね! おうちからは出ないでゆっくりしてね!」 「「ゆっくり理解したよっ!!」」 「お母さん、みんなとちゃんとゆっくりするから、ゆっくり休んでね!」 今日はしっかり者の長女れいむが冬眠から目覚めていた。またすぐ眠ってしまうかもしれないが、母れいむがまた起きるまでこの子に任せておけば大丈夫だろう。 「ゆっきゃああああ!! おかーしゃん! あいどるれいみゅはおなきゃすいちゃあああああああっ!! あまあまさんをむ~しゃむ~しゃちたいよぉ!!」 「みょんもおなかすいちゃみょおおおおん!!」 「ごはんしゃん! ごはんしゃん!」 「ゆゆ! まりさがあいどるいもうちょのためにごはんさんもっちぇくるんだじぇ!!」 「まりさもゆっくりしてね! おねえちゃんがやるよ!!」 母れいむの頬が自然と緩む。今、母れいむは最高にゆっくりしていた。ゆっくりできなかった思い出は、みんな忘却の彼方に忘れてしまえそうなくらい。 次にもみじが起きたのは、それから一週間後だった。かつては二週間に一度起きるペースだったが、春が近づいてきているせいだろう。少しずつ、一回辺りの冬眠の間隔が短くなってきていた。 「む~しゃむ~しゃ……しあわせですぅ~っ! わふっ!!」 もみじはどんぐりと干したきのこをむ~しゃむ~しゃした。 栄養を補充したもみじの尻尾がぴーんと立つ。寝ぼけていた意識が目覚め、頭がしゃきっとした証拠だ。 「今度こそ、みんなが永遠にゆっくりしてしまった原因を突き止めます! それがりーだーの役目ですから!」 もみじはまだ眠っている番のちぇんに小さく「行ってきます」とささやくと、早速行動を開始した。まず、群れの食糧備蓄庫へと向かった。前回起きて、みょんやさなえの死体を調べたとき、所々にうんうんが散らばっているのが気になっていた。恐らくは南の島から来たれいむとまりさのうんうんなのだろうが、あれだけうんうんがあるということは、それだけむ~しゃむ~しゃしたということである。 「嫌な予感が……します」 本当は前回起きたときに調べたかったのだが、思いのほか死体の調査に手間取ってしまった。さなえの死体などすりつぶすかのようにバラバラに潰され、お飾りの破片しか見つからなかったくらいだ。臭いに敏感なもみじ種でなければ、ゴミにしか思わなかっただろう。 もみじは食糧備蓄庫まで跳ねてきた。 「なんなの……これは……?」 そして絶句した。 あれだけたくさん蓄えておいたどんぐりが、干した海藻やきのこ類、ヤマブドウが、生きたまま長期間保存できる食糧として重宝なミノムシが、みんなみんななくなっていた。中途半端に食い散らかされたものもあった。きすめは髪の毛が全て毟り取られ、その半分の個体が永遠にゆっくりしていた。まだ息がある個体も「息も絶え絶え」な状態である。 「きすめぇ!! きすめぇ!! どぼじだんですかぁぁぁっ!? なんでみんな、こんな!?」 「……もみじぃ……れいむが、れいむがみんなむ~……しちゃったよ……」 「!?」 きすめによれば、南の島から来たれいむが来て、数日できすめの髪を全てむ~しゃむ~しゃしてしまったとのことだった。 その後、もみじは、ごはんさんもそのれいむが全部む~しゃむ~しゃしてしまったのか、と尋ねたが、きすめは当初備蓄庫隅の日当たりの良い場所に固着していたため、視界の関係上分からないとのことだった。ただ、聞こえてきた声から、れいむがかなりむ~しゃむ~しゃしてしまったのではないか、とのことであった。 「誰も、誰も気付かなかったのですか……」 もみじは一人つぶやいた。 実を言えば、冬眠中、食糧備蓄庫に顔を出すゆっくりは決して多くなかった。なぜならば、皆自前で越冬に十分な食糧は用意するのが基本であり、それができていなかった家庭には、もみじが食糧を配布したからだ。中には自分の大好物を求めて備蓄庫を訪れたゆっくりもいるにはいたが、眠気で頭が回っていなかったり、食糧の減り具合にびっくりしても、どうしていいか分からないうちに寒さで眠くなってしまい、騒ぎにまで発展しなかったのである。 そもそも、この備蓄の半分くらいは越冬のためではない。越冬後、暖かくなって冬眠できなくなったものの、雪解けが遅かったり、植物の生育が悪かったりといった理由で満足に食糧を収集できない時のための予備なのだ。 ふと、もみじは備蓄庫の隅に枯れ木が積み重なっているのを発見した。越冬するゆっくりは、適当な枯れ木を保存し、中にいるカミキリムシの幼虫や集団越冬しているテントウムシを食べるのだ。もっとも、テントウムシの方は苦いので、本当に困窮した時しか食用にしないが。 これが残っているということは、やはり南の島から来たゆっくりが、食糧の大部分をむ~しゃむ~しゃしてしまったのだろう。この地で生まれ育ったゆっくりならば、いつ木片から出て行ってしまうか分からない、このような食糧を最後まで取っておくことはしないからだ。恐らく、この食糧の激減とたくさんのゆっくりが永遠にゆっくりしてしまったことには関連があるのだろう。れいぽぅによって生まれた赤ゆっくりを世話しているのかもしれない、もみじはそう考えた。 だが気になる点もあった。永遠にゆっくりしたゆっくり達の中には、赤ゆっくりを蔓に宿したまま死んでいたり、あるいは母体の近くに赤ゆのお飾りが散らばった状態のものが観察された。 いずれも死体はほとんど残っていなかったが、そのお飾りから、すっきりしたのは永遠にゆっくりしてしまった個体とれいむであることが見て取れた。 なぜ、れいむだけすっきりしていたのだろう? 果たして、自分の番にだけ好きにすっきりさせるゆっくりなどいるのだろうか? それも自分とは違う相手に。 そのような倒錯的な性癖を持つゆっくりも探せばいるのだろうが、それは、もみじの記憶に残っているまりさのイメージとは重ならなかった。 「ゆ~……だとすると、れいむがみんなをれいぽぅして、そのおちびちゃんとご飯さんをたくさんむ~しゃむ~しゃしてしまったのでしょうか……」 まりさとれいむに直接会わなければならなかった。また夕闇が辺りを包み、冬眠モードに体が移行してしまう前に。 「起きてますかー! もみじですよー! 起きてたらゆっくりしないで集まってください!」 もみじは群れの幹部達、警邏隊のゆっくり達のおうちを回り、起きているゆっくり達に協力を呼びかけた。 このもみじ率いる群れは大規模な争いは経験していないため、組織的に動く兵ゆっくり、と呼ぶほどのものは持っていない。そもそも子供も含めて四十~五十匹程度の群れでは、陣形を組んでの戦闘などできたものではない。この群れは少数精鋭をモットーとしているのだ。 その代わり、捕食種との戦いや野良ゆっくりへの牽制のために、ゆっくり警邏隊「しんせんぐみ」を組織していた(内部抗争ででっぷりしたみょん一派を粛清済み)。全部で六匹の元気、つまり新鮮なみょん種によって構成され、水色のリボンが目印となっていた。いずれも剣(と呼んでる棒切れ)の達人であり、「がとゆ」という良く分からない技を習得していた。「がとゆ」には零~二式まであるとか、百八式まであるとか、アバンゆトラッシュもできるとかいろいろ言われていたが、詳しいことはもみじも分からなかった。 もみじはたまたま起きていた幹部の変態てんこ、「しんせんぐみ」に属するみょん姉妹に声をかけると、まりさとれいむのおうちへと向かった。もみじ自身も、おうちから「刀」と思い込んでいる安い土産品のペーパーナイフを持って来ていた。 だが、その途中で異変が起きた。 「ゆぼァァァァァァァァっ!!」 もみじ達が振り返ると、そこには、ぎざぎざに尖った石の上でのたうちまわるてんこの姿があった。どうやって、あの上に乗ったのか分からないが、エライ事態だった。 「てんこ! 大丈夫ですかっ!!」 「すごいわぁぁぁぁぁっ!! あうぅっ! もう信じられないっ!! ナニコレ、ぎもぢいいいいいいいいいっ!!」 お得意のMプレイだった。がっくりと肩を落としたもみじは、押し寄せる言いようのない疲れに苦しみながらも、みょん姉妹に制裁を促した。もうまりさとれいむのおうちは近い。このままここで騒がれて、二匹に逃げ出されては面倒だった。 もみじの視線に応えたのは、姉妹の姉の方のみょんだった。 「ゆっふっふ……がとゆには三つの型があるみょん……」 そう言って、べろで棒切れを構える。てんこは何も気付かずに……ナニかやっていた。 「やヴぁい! やヴぁいわぁぁぁぁっ!! しんじゃうぅぅぅぅっ!! んっほぉぉぉぉぉっ!!」 みょんは棒切れの切っ先をてんこに向ける。 「ぺにぺにを狙う一式……まむまむ粉砕用の二式……そして……」 みょんが狙いを定め、その目をギラリと光らせる。 「あにゃるを貫く! がとゆ零式っ!!」 姉みょんは、ゆっくりにしては目にも留まらぬ速さで突進し、その棒切れをてんこのあにゃるに深々とと突き刺した。容赦も遠慮もなかった。 「ゆ♪ ほっほっほほおおおおおおおおおっ!! あにゃるぜろしき来たぁぁぁぁぁぁっ!!!」 てんこは絶叫と共に絶頂を迎えて倒れた。 「死んではいないみょん……またつまらぬものを貫いてしまったみょん……くさっ!!」 みょんは棒切れの先に付着した何かの臭いに顔をしかめた。 「わふぅ……てんこには困ったものです……」 もみじはため息を一つつくと、ある程度の距離かられいむのおうちを探った。臭いによって中に誰がいるかくらい、分かることもあるのだ。 「すんすん……すんすん……」 もみじは周囲の臭いから空気の流れを敏感に感じ取り、れいむとまりさのおうちの臭いが漂ってくるであろう風下で鼻を澄ませた。まりさとれいむのおうちから、れいむのものらしき奇声が聞こえてきたのはその時だった。 「びっぐ・べん・あたぁぁぁぁぁっくっ!!」 続いて形容するのもはばかられる下痢便の音、そしてその臭いは風下で待ち受けていたもみじの敏感な鼻を直撃した。 「すんすん……!! ふべんヴぁべろべるォォォォォォォっ!?」 なまじ鼻が効く分、もみじは強い臭いには滅法弱かった。もし、この臭いを至近距離で嗅いでいたら失神してしまっていただろう。 「ゆっ!! 誰かいるのっ!!」 もみじの声に気がついて、おうちから出てきたのは、長女れいむだった。 「だれ! ここはれいむ達のゆっくりぷれいすだよっ! ゆっくりできないゆっくりは、ゆっくりしないで出て行ってね!」 母れいむの子供達は、洞窟に他のゆっくりが住んでいることは知っていたが、もみじがそのりーだーであることは知らなかった。いきなり武器を持ってやって来たゆっくり、それはれいむ達のゆっくりぷれいすに侵入を試みるゆっくりできないゆっくりにしか見えなかった。 「ここはまりしゃ達のゆっくりぷれいすなんだじぇ!!」 「入りたかったらあまあまを持ってくるみょん! たっくさんでいいみょん!」 「ちぇんのあにゃるにきすするといいんだねー!!」 好き放題に罵詈雑言を上げる子ゆを無視して、もみじとみょん姉妹はうんうんの臭い溢れる、れいむのおうちへとあんよを踏み入れた。 「ゆゆ? 久しぶりだね、もみじ……ゆっくり……何か用なの?」 「ゆっくりこんにちはれいむ……ゆっくりしていますか?」 そこにいたのはすっかり衰弱しきった母れいむだった。体こそ大きく、でっぷりしていたが、その表情に覇気はなく、起きているのも辛そうだった。周囲には下痢の後が飛び散っており、それを長女れいむをはじめ、年長の子ゆっくり達が必死に掃除している有様だった。 やまめに刺された毒のせいなのか、そこから雑菌やカビの類が入って傷口から感染したのか、連日のように下痢が襲い、母れいむの体力を奪っていっていたのだ。 れいむはもみじ達に自分の症状を伝えると、ゆっくり懇願した。 「もみじ……お願いがあるよ、れいむに人間の町からゆっくりしないでお薬さんを取ってきて欲しいよ! あと、ゆっくりしないでごはんさんを取って来てね! もうごはんさんがほとんどないよ! くるみさんはむ~しゃむ~しゃできないし、ぱさぱさのふーどさんはもう飽きたよ!! おちびちゃん達がおなかを空かせてるんだよ!」 「おかーしゃんゆっくり! ゆっくりしてぇぇぇぇっ!!」 「ゆえええん! おきゃーしゃん早くゆっくり元気になって欲しいみょん!!」 「れいむはお母さんのうんうんを捨ててくるよ!……ゆげぇっ!! お゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛……」 もみじは必死に懇願するれいむと、ぴーぴー騒ぐ子ゆっくり達を交互に眺めた後、有無を言わせぬ口調にれいむに問いかけた。 「……そうですか、れいむ、お大事に。でもその前に聴きたいことがあります! ゆっくり聞いてください! まりさは、まりさはどこにいますか? もみじはまりさとも話さないといけません、ゆっくりしないで教えてください」 母れいむの脳裏で、まりさのゆっくりできない凶行が蘇る。 「知らないよあんなやつ!! まりさはれいむをゆっくりさぜでぐれなかったんだよ!! そのうえ、れいむのとてもゆっぐりじだおさげさんもむしったんだよ!!」 それまで衰弱しきっていたのが嘘のように母れいむの顔が怒りに歪む。 「れいむはむ~しゃむ~しゃして、すっきりして、おちびちゃんとゆっぐりしだがっただけなのに、まりさは嫌だって言ったんだよ!! もうずっと前にごはんさんを取ってくるとか言って出て行ったっきりだよっ!!」 もみじはびっくりした。冬に巣の外に出て行くなんて。 だが、もみじが驚いているのも気にせず、母れいむは堰を切ったかのように番であったまりさへの怒りを噴出し続けた。 「ゆぎぎぎっ!! 思い出しただけでも腹が立って来たよ! まりさは帰ってこなかったからきっと永遠にゆっくりしたよ!! いいザマだよ! れいむはこんなにゆっぐりじでるのに!! たくっさんの美ゆっくりとすっきりして、れいむに似たたくっさんのゆっくりできるおちびちゃんに囲まれてるよ!! れいむはゆっくりしあわせ~! ゆっくりふしあわせ~なまりさザマァッ!!」 もみじは怒り狂う母れいむを冷めた目で見ていた。 「……れいむはたくさんのゆっくりとすっきりして、ゆっくりしたんですね……まりさはすっきりしなかったんですか?」 「だから言ったでしょおおおおっ!! まりさはゆっくりできなかったって! その上、れいむを置いてきっと逃げたんだよ!! りこんっだよ! だかられいむはみんなとすっきりしたんだよっ!!」 もみじはまりさが無罪なのか有罪なのか確認したかった。だが、どうやらみょん達がれいぽぅされて永遠にゆっくりした件には関わっていないようだった。 「ゆゆ~ん、それでこんなに可愛いおちびちゃんをたくさん授かったんだよ!! れいむのおちびちゃんはとってもゆっくりしているよ!!……!! ゆっぎゃああああっ!! いじゃいいいいっ!! れいむのおなかがいじゃいよぉぉぉっ!!」 これもやまめの毒のせいなのだろうか、母れいむは腹痛を訴え苦しみ始めた。だが、そんなれいむには目もくれず、もみじは物思いに耽っていた。 冬に巣の外へ出て、ずっと帰ってきていないということは、生きているにしろ、永遠にゆっくりしたにしろ、あのまりさはもう帰って来ないだろう。 まりさも群れの食料を食い荒らしたのだろうか? なぜ、あんなにたくさんむ~しゃむ~しゃしてしまったのだろうか? 眠れなかったのだろうか? そんなことが有り得るのだろうか? 考えてみても始まらなかった。ごはんさんを取りに外へ出かけた、ということは、む~しゃむ~しゃしてしまったごはんさんを返そうとしたのかもしれない。 義理堅いまりさならありそうな話だが、もう真実を確認する術はなかった。目の前の案件を処理しなければいけなかった。 「単刀直入に聞きます」 もみじは母れいむは落ち着いたのを見計らって声をかけた。 新鮮組のみょん姉妹が「刀」と自称する棒切れを握りしめ、母れいむをにらみつける。 暖かい春風が洞窟の中に吹き込んでくる。しかし、この場所にいるゆっくり達は誰一人、春風の暖かさも、雪が溶ける臭いも感じていないかのようだった。 「みょんが、ちぇんが、てかてかのまりさが何者かにれいぽぅされて永遠にゆっくりしてしまいました。ありすは大きなおなかを抱えたまま永遠にゆっくりしていました……」 それは質問というよりも確認だった。 みょん姉妹が、れいむのおうちを塞ぐようにして陣取る。 「みょんとずっと一緒にゆっくりしていたさなえは、何者かに潰されて永遠にゆっくりしていました」 みょん姉妹ともみじがじりじりとベッドの上の母れいむへと近づいていく。長女れいむをはじめ子ゆっくりの何匹かが母れいむを後ろにして、三匹の前に立ちはだかる。子供なりにゆっくりできない空気を感じ取ったのだろう。 「こないじぇね!! ゆっくりしてないゆっくりはおかーさんに近づかないでね!!」 「まりしゃは! まりしゃはやるときはやるんだじぇっ! 近づかないのがみのためなんだじぇ!」 もみじは子ゆっくり達の臭いから、その子達が母れいむと永遠にゆっくりしたゆっくりのうち三匹との間に生まれた子供であることを感知した。おそらく、この子達は母れいむから生まれたため、今日まで生きて来られたのだろう。疑念は全て確信へと変わり、もみじの眼に迷いはなかった。 「れいぽぅされたゆっくり達はみんなれいむの赤ちゃんを産んでました。れいむと同じ臭いのする赤ゆっくりでしたよ! そして、赤ちゃんもみんな永遠にゆっくりしてました……」 もみじの冷めた視線と母れいむの相手を抉りこむような視線が正面からぶつかり合う。 「れいむが……れいむがみんなをれいぽぅしたんですか? そして永遠にゆっくりさせたんですか?」 「違うよ! 全然違うよ!」 母れいむはもみじの問いかけを否定し、反撃するかのようにまくし立てた。 「だいたい、なんでれいぽぅしたとかされたとかゆっくりできないことを言うの? すっきりはゆっくりできるおちびちゃんを授かるためにするんだよ!! これはれいむとすっきり相手の問題でしょおおおっ!! もみじはほっといて欲しいよっ!!」 「もみじはみんなのことを良く知っていますよ! 冬眠してる最中にすっきりするゆっくりなんて、この群れにはいません! 」 もみじは断固とした態度で母れいむの言を否定した。 「ごーいのうえだったに決まってるでしょおおおおっ!! みんなれいむに夢中だったんだよおおおおっ!! れいむがみんなをゆっぐりざぜであげだんだよぉぉぉっ!! ゆっくり理解……」 「できません!! れいぱーは軽くてもぺにぺに切断の上追放です、ゆっくり殺しは死刑です!」 死刑という言葉を受けて、母れいむはぶち切れた。 「おぢびぢゃんだち!! こんなゆっぐりじでないくそどものいう事を真に受けじゃだめだよ!! このぐぞどもはれいむ達のゆっぐりを奪おうとしてるんだよっ!!」 「おきゃーしゃんをいじめるやつは許さないよ!!」 「まりしゃがおかーさんを守るんだじぇっ!!」 「おかーさんはとってもゆっくりしてるんだよ! 分かってねー!!」 「おきゃーしゃんをゆっきゅりさえないのはせいっさいみょん!!」 母れいむに続いて、母れいむの子ゆっくり達が一斉にもみじ達三匹へ非難の言葉を投げつける。 この母れいむ、母性だけはしっかりしたものであり、子ゆっくりへの愛情と世話は決して偽者ではなかった。そのため、子ゆっくり達は、もみじではなく、母れいむをこそ信じていたのだ。 「……」 もみじとみょん姉妹は武器を握りなおすと、一斉に地面に叩きつけた。 どんっという音が響き渡り、さっきまで威勢よく騒いでいた子ゆっくり達がびくっと跳ね、動きを止める。 「これは大人の問題みょん、しーしーくさいガキは黙ってるみょん!」 どすの利いた口調で姉みょんが一喝した。 母れいむの子供達が沈黙したのを確認すると、もみじは再び視線を母れいむへと向ける。 「れいむは! れいむはざびじがったんだよぉぉぉぉぉっ!! まりさは群れのことばっかりで全然れいむとゆっくりしてくれなかったよ!! れいむはもっとゆっぐりじだがったんだよっ!! 誰もれいむを助けてぐれながったんだよぉぉぉぉぉ!!」 れいむは泣きながら必死に我が身の不運を訴えた。事実、まりさはこの地に来てからと言うもの、群れのゆっくりの顔色ばかりうかがい、れいむのことを放置している、れいむはずっとそう感じていたのだ。 「そうですね、みょんもさなえも……れいむにれいぽぅされたゆっくりは誰も助けてもらえませんでした。今、そのけじめをつけないといけないですね!」 だが、母れいむの身の不運はもみじには関係のないことだった。 「ゆっげぇぇぇぇっ!! うるざいよ! みんなじねぇぇぇぇっ!! れいむをゆっぐりざぜろ! れいむのおちびぢゃんをゆっぐりざせろっ!! 家族がゆっぐりじでるのを邪魔するどが、ひじょーしきにもほどがあるよっ!! ごのぐぞ!!」 「その家族のゆっくりを一体いくつ奪ったと思ってるんです!!」 怒ったと思えば、今度は涙目で訴える。 「誰もいないんだよ……ごはんさんはあったけど、誰もいないんだよ、いなかったんだよ……れいむはゆっくりするためにどうしたらいいのか……」 「事情があったとしても、ここまでです。せいっさいっします!!」 母れいむの必死の抵抗は、何一つもみじ達には届かなかった。 異変が起きたのはその時だった。 「れいぶは! れいぶのおぢびぢゃぢゃぢゃぢゃ……ゆっぎ!? ……どぼじ? ……ゆっぎいいいっ!?」 怒りに震えていたれいむの目玉がぐるんと回転する。右目と左目の焦点は合っておらず、口からは泡を吹き出した。母れいむの様子は明らかに異常だった。 「!!」 もみじ達は、母れいむの異常を見て、一斉に飛び退いた。 母れいむのまむまむが裏返ってぺにぺにになり、大きく膨れ上がってきたからだ。信じられないことに、あにゃるも同様に張り出していた。 「ゆぎょ!? ゆっぎょおおおおおっ! やべで! いじゃいよぉぉぉぉっ!! れいぶのがらだ、れいぶのがらだどうなっぢゃ……ゆぶぶぶぶぶぶぅ……」 母れいむは泡を吹き出しながらのたうちまわる。 「ゆっきゃぁぁぁぁぁっ!! おきゃーしゃんがゆっくりできにゃいぃぃぃぃぃっ!!」 「おかーさん! ゆっくり! ゆっくりぃ!!」 「ふらんくふるとっ!?」 母れいむの子供達も、母を心配するもの、その異常さに恐怖するもの、何がなんだか分からず泣き喚くもの、大騒ぎになっていた。 「ゆっぎょおおおおおおっ!! れいぶのれいぶのまむまむざんがぁぁぁぁっ!! あにゃるざんがぁぁぁぁっ!! うぎゃあああああああああっ!!?」 母れいむの「ぺにぺに」とあにゃるが一斉に破裂した。そして、 「しゅぱいやーま!!」 「や~まみぇぇぇぇっ!!」 「やー! やー!」 中から湧いて出てきたのは、丸々と太った赤やまめ達だった。 「ゆべぇぇぇぇぇぇっ!? れいぶのがらだがっ! れいぶのゆっぐりじだがらだがぁぁぁぁっ!! どぼじで!? どぼじでやまめがぁぁぁぁっ! ゆひっ! ゆひっ! ゆぎゃぁぁぁぁぁっ!! だずげでぇぇぇぇぇっ!!」 母れいむはやまめの毒にやられたのではなかった。やまめはその牙に麻痺毒を持っているが、お尻に毒腺・毒針はなかった。そこにあるのは産ゆ管だったのだ。餌資源の少ない厳しい季節には、時折、やまめは安全で「食糧」も豊富な他のゆっくりの体内に赤ゆを産み付けることが報告されている。母れいむは体内に赤やまめを直に産み付けられ、中枢餡を避けるようにして体内を文字通り「侵食」されていたのだ。 「ゆっぎゃぁぁぁぁっ!! おぎゃーじゃんがばげものおおおおおっ!!」 「たじゅげでぇぇぇぇっ!! きゃわいいれいみゅだけはたちゅけてぇぇぇっ!!」 「やーまみぇーっ!!」」 「ゆっぎゃああああああっ!! ごないでぇぇぇっ!! まりじゃの方にごないでぇぇぇぇぇっ!!」 辺りはパニックになっていた。 「みょん! いきます!」 「「合点承知!」」 一刻も早く、赤やまめを叩き潰す必要性があった。洞窟奥でひっそりと潜伏でもされたら、ここは安全なゆっくりぷれいすではなくなってしまう。 新鮮組のみょん姉妹は手当たり次第に赤やまめ達をぶった切っていく。いくら捕食種やまめとは言え、このサイズであれば武器を手にしたみょん種の敵ではなかった。 「ゆげえええええええ゛っ!! だじゅげろおおおおおっ!! れいぶをだずげぼぉぉぉぉぉっ!!」 痛みと恐怖で泣き喚く母れいむ。 だが、それに構っている余裕はもみじ達にも、子供達にもなかった。 「いそいでにげりゅゆっくり! しゅぱいやーまっ!!」 二匹の赤やまめはもみじに狙いを定めて、れいむのおうちからの突破を試みた。 「来ますか!? 赤ゆっくりと言えどもやまめ、油断も容赦もしません!! ここはやまめ達がゆっくりする場所じゃありません!」 もみじはそのふさふさした尻尾を叩きつけ、巧みに牽制し、赤やまめを近づけさせなかった。その隙にペーパーナイフを構えなおし、反撃のタイミングを見定める。 「今です! 咲く場所を間違えた花は散るのが定め!!」 雪のように白い尻尾を巧みに操って敵の視界を攪乱し、ペーパーナイフで三日月形の軌道に切り裂き、敵の餡子を花のように咲かせる。 「乱れ雪月花っ!!」 もみじ必殺の一撃である。尻尾での攪乱牽制をうまくやれば、一対多もこなせる攻撃法であった。なお、似て非なる技に、涎をばらまく涎雪月花もあるという。 「おいいいいいいいっ!! なんでれいぶをだじゅげないんだぁぁぁぁっ!! なんでもいいがらはやぐだじゅげろっ!! ゆっぐりできなびぃぃぃっ!?」 「すべてを食い破るゆっくち! しゅぱいやーまっ!」 「れいぶのおべべがぁぁぁぁぁっ!!」 今度は母れいむの右の眼球を食い破って赤やまめが出てきたのだ。 「みょん! ……母体を……いやっ!」 もみじは母れいむに向かって跳ねた。母れいむの体内にまだ赤やまめがいるのかいないのか、もみじには分からなかった。そして、群れの安全のためにはやらなければならないことだった。 「だじゅげろぉぉぉぉっ!! れいぶをだじゅげろ! ゆっぐり、ゆっぐぢざぜろぉぉぉっ!!」 「乱れ雪月花っ!!」 尻尾で母れいむの視界を封じた後、ペーパーナイフが容赦なく振り下ろされた。 「ゆごぶばぁっ!?」 「やヴぁっ!?」 もみじは母れいむの顔ごと、赤やまめを切り裂いた。そして、そのまま母れいむの体をペーパーナイフでざくざくと突き刺し、細切れにしていく。体外に出てきた赤やまめを始末し終えたみょん姉妹もそれに加わった。 「ゆべっ!? やべじぇ!! れいぶをっ!! れいぶをごろばばいでぇぇぇっ!! ばぶっ!! ゆっぐりごろじはゆっぐりでぎないっで! ゆべっ!! いま! じぶんでっ!! ゆ゛っ!!」 もみじもみょんも容赦しなかった。本当はもっと静かに永遠にゆっくりさせるつもりではあったが、やまめに赤ゆを産みつけられていた以上、細かく切り刻むか、水に叩き落す以外、方法はなかった。 「ゆびっ!! おぢびっ!! ゆ゛!! ゆ゛!! ゆばぁっ!! ぢゃんっ!! ゆ゛……ゆ゛……ゆ゛……」 母れいむは沈黙し、最早原型が何か分からないほど切断され、潰された。その死体は餡子と生キャラメルが混ざっていた。まだ体内に何匹か赤やまめが残っていたのだろう。 もし、まりさが寂しがっていたれいむをうまくケアしていれば…… もし、れいむがもっと「冬眠」について理解できる機会があれば…… 仮定はいくらでもできるが、今、ここに残ったのはたくさんの子ゆっくりとぐちゃぐちゃの死体、それだけだった。しばらくすると、強い強い春風が、乾ききった母れいむの死体を吹き飛ばしていった。 春一番がこの地に吹いてから、春はあっという間に到来した。山岳部にはまだ雪が残っているところもあったが、少し前まで雪化粧をしていた大地は真っ黒な地肌を曝していた。そして、そこから力強く、新しい緑が芽を出している。川は上流部からの雪解け水を受け、どうどうと流れる清涼な水であふれていた。 南の島からやって来たれいむとまりさは、この春の光を、そして春の臭いを浴びることも出来ず、永遠にゆっくりした。 れいむの遺餡子は少しだけこの北の大地のゆっくりに受け継がれ、まりさの知識と技術は少しだけここの群れに受け継がれた。 だが、残された子供達にゆっくりした日々は来なかった。 もみじは、子供達までせいっさいっするつもりはなかったが、群れで育むつもりもなかった。 もみじをはじめ、林の群れのゆっくり達は越冬自体はできたものの、越冬後、植物が十分に繁茂し、昆虫が眠りから本格的に覚めるまでの食糧を失った。そのため、それを補填しようと毎日のように野を駆け回っていた。それは危険な行為だった。なぜならば、眠りから覚めた動物達が一斉に餌資源を求めて徘徊し、また冬を耐え抜いた捕食者も、やっと動き出した餌生物を前に活発に活動する季節だったからだ。 一匹、また一匹と狩りの最中に永遠にゆっくりするゆっくりは増えていった。この群れでは事例が少なかった餓死者も出た。もみじはゆん口が半分以下に減った群れをなんとかしようと、あちこちを駆け回っていた。 町の野良ゆっくりとの物々交換、海辺の餌資源の積極的な開拓、そして今までむ~しゃむ~しゃしていなかった、まずい食糧の利用……もみじに、林の群れに、残された母れいむの遺児の面倒を見る余裕はなかった。 冬を越した十二匹の子ゆっくりは、洞窟から雀の涙ほどの食糧を「お情け」として持たされて追い出された。十二姉妹は食糧を求めて人間の町に向かった。 冬眠する個体としない個体がいるせいで、その成長段階もバラバラだった。しっかりものとして将来を期待されていた長女れいむは、冬眠を行う遺餡子を持っていたがために、自分よりもたくさんむ~しゃむ~しゃして、冬の間に成長した妹達の面倒をも見なければいけなかった。 「おねーちゃん、おなかすいたみょん!!」 「くそばばぁ!! はやくれいみゅにごはんしゃんもってきょい!! それでもおねーちゃんなの? れいみゅはずかちーよ!!」 「ゆわぁん! ゆわぁん! おきゃーしゃーんっ!!」 だが、みんな、子供故に母れいむがなんでも面倒見てくれる、そんな世界しか知らなかった。 ある子まりさは野良ありすにれいぽぅされて永遠にゆっくりし、ある子れいむは車に引かれて永遠にゆっくりした。 ある子みょんは人間の子供の玩具にされて永遠にゆっくりし、ある子ちぇんは「ゆっくりさせてくれない!」とありったけの罵詈雑言を長女れいむに浴びせた後、二度と帰って来なかった。 最後に残ったのは、しっかりものの長女れいむと、好奇心旺盛な、あのやまめに噛まれたこともある子まりさの二匹だけだった。 「ゆぅ……今日もごはんさんこれだけだよ……」 「まりさはこれだけなのじぇ……ゆっくりできないのじぇ……」 二匹は海岸近くの野原に捨てられて錆びついた廃車の下で生活していた。二匹が今日一日必死に集めた食糧は、小さなバッタが一匹に、道路で車に轢かれて死んでいたシデムシの死骸、そしておなかを膨らませるための苦い雑草、それだけだった。 親から狩りの指導を受ける機会もなかった二匹は、狩りも下手だったのだ。 既にしあわせ~!な味を忘れて久しく、お飾りもくたびれていた。 「む~しゃむ~しゃ……ふしあわせぇ~……」 「む~しゃむ~しゃ……ゆげぇ! 草さん苦くてゆっくりできないのじぇ!!」 子まりさが、長女れいむにある提案をしたのは、その侘しい夕食の後だった。 「おねーちゃん、ゆっくり聞いて欲しいんだじぇ! まりさはおかーさんがゆっくりしていた、海さんの向こうのゆっくりぷれいすにでかけることに決めたんだじぇ! おねーちゃんにもゆっくりついてきて欲しいんだじぇ! 一緒にゆっくりぷれいすでゆっくりしたいんだじぇ!!」 子まりさは、母れいむがしてくれる南の島の話が大好きだった。そして、好奇心旺盛な子まりさは、いつしか海を渡って南の島へ行けばゆっくりできる、と考えるようになっていたのだ。 「分かったよ! おかあさんのゆっくりしたふるさとに、れいむも行って見たいよ!」 洞窟の中でのしあわせ~な生活と比べて、あまりに辛い現状に精神をすり減らしていた長女れいむは、子まりさの提案に簡単に賛成した。 翌日は穏やかな日だった。空にはのんびりとした雲が浮かび、風がないために海は鏡のように凪いでいた。 二匹は廃車の近くにあった廃港に捨ててあったカップ麺の容器を浮かべ、ここから出発することにした。 「海さんとってもゆっくりしているんだじぇ! きっとまりさ達を歓迎してくれてるんだじぇ!」 「ゆゆ~ん! おかあさんのふるさと、ゆっくり楽しみだね!」 子まりさは穏やかな陽光に照らされる海面に目を細めながら、ゆっくり、ゆっくりと櫂を漕いで行った。二匹のゆっくりを乗せたカップ麺の容器は、これまたゆっくり、ゆっくりと海を進んでいく。 子まりさは南の島がどこにあるのか、どれくらいの距離にあるのかなどと、考えたことはなかった。ただ、海を進めばゆっくりできる、そう信じていたのだ。 「きゅーそくふじょーっ!! こんにちは、まりさとれいむ! ゆっくりしていってね!」 その時、一匹のむらさが水中から浮上し、顔を出した。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆゆ!? 見たことないゆっくりだじぇ!」 子まりさも長女れいむも初めて見るゆっくりだった。 「むらさはむらさだよ! よーそろー! まりさとれいむは何してるの?」 「まりさはこれからこの海さんを渡って、とってもゆっくりしたゆっくりぷれいすに行くんだじぇ!!」 子まりさはむらさの問いかけに対して、誇らしげに答えた。そこへ、もう一匹のむらさが浮上してきた。最初の個体よりも大きな個体だった。 「よーそろーっ!! 海を渡って、ゆっくりぷれいす、ね……」 「!!」 子まりさと長女れいむはその大きなゆっくりの姿にびっくりした。その大きなゆっくりは片方の目に黒い眼帯をしており、そのぼろぼろの水兵帽に引っ掛けるようにして所持しているあんかーには、死臭がべっとりと染み付いた大小様々な水兵帽の切れ端が結び付けられていた。とてもゆっくりできないゆっくりだった。 「シブイねぇ……まったくまりさはシブイよ!」 二匹の乗るカップ麺容器の前に、黒い眼帯をしたむらさは移動した。それは、以前、南の島から来たまりさや林の群れの面々が浮き桟橋で戦ったむらさ……あのときのリーダー格、きゃぷてんと呼ばれていたむらさだった。 「「ずちゃ、ずっちゃちゃちゃ♪ ずっちゃっちゃ♪ ずっちゃっちゃっちゃ♪ (某海賊映画のテーマらしきもの)」」 なにやら勇ましいテーマ曲を口ずさみながら、十匹前後のむらさが一斉に浮上してきた。そのほとんどの個体が、頬をちぎられていたり、水兵帽がぼろぼろであったり、片目がなかったりと、とてもゆっくりできないゆっくりで占められていた。 「ゆ!? む、むらさはなんなんだじぇ!? なんだかゆっくりできてないんだじぇ! ゆっくりしないでどっかに行って欲しいんだじぇ!!」 警戒した子まりさが怯えた声を上げる。その後ろで長女れいむは緊張した面持ちで、きゃぷてんむらさをにらみつけていた。 そんな二匹の様子をあざ笑うかのように、きゃぷてんむらさは重々しく口を開いた。 「ここはゆっくりできない海……むらさによって呪われた海だよ、よーそろー! この海にあんよを踏み入れたゆっくりはみんなゆっくり沈んで行くんだよ、よーそろー! ……あきらめてね」 「何言ってるの! なんのけんりがあってそんなこと言ってるの!! れいむもまりさもそんなの知らないよ! 勝手なこと言わないでね!!」 むらさの一方的な悪意に対して、れいむが怒りに満ちた声で抗議する。それに対して、きゃぷてんむらさはからからと笑うような声で答えた。 「そんなの知らないよ!! むらさの友達も、おちびちゃんも、赤ちゃんも、みんなみんな永遠にゆっくりしちゃったよっ!! 許さないよ! 」 「何言ってるんだじぇ? まりさ達はなんのことか分からないんだじぇ!!」 きゃぷてんむらさは、ゆふふと笑った。 「だーくぶるーむーん!」 むらさ達が、子まりさと長女れいむの乗ったカップ麺容器前方に三日月型に展開する。だーくぶるーむーんは、むらさ達が自分より大きな敵に対して、三日月の延びた両翼から牽制と攻撃を同時に行う陣形であり、戦法であった。 「ゆっくり沈め! よーそろー!」 子まりさと長女れいむが、何がなんだか分からず戸惑っていると、一匹のむらさが左からカップ麺容器に攻撃を仕掛けてきた。石灰質のあんかーがざくりと容器の底を削り、小さな切れ目を作り出す。 「やべでねっ!! なにずるのっ!! れいむはむらさに何も悪いことしでないよっ!! ゆっくりしないでやめでねっ!!」 「やめるんだじぇええええっ!! こんなのゆっぐりじでないんだじぇえええっ!!」 「むらさがゆっくりしてないって? 別にいいよ! むらさはゆっくりしたいわけじゃないよ! ただ……」 二匹目、三匹目と、カップ麺容器の左右からむらさが別々に突っ込んできて、同じように穴を開けていく。海水がカップ麺容器に浸入し、子まりさと長女れいむのあんよを濡らし始めた。 「ただ、むらさのおちびちゃんよりも苦しんで沈んでね! むらさの友達よりも惨めに死んでね! むらさの妹よりも汚ない死体になってね! むらさはそれだけが望みだよっ!! よーそろーっ!!」 高らかに笑うきゃぷてんむらさの宣言も、子まりさと長女れいむの耳には届かない。二匹は海水を口に含んで外に捨てようと必死だった。 「ゆわあああああっ!! まりさは水さんを外へぴゅーっするんだじぇ……ゆっげぇぇぇっ!! じょっぱい! ゆっぐりできないんだじぇぇぇっ!!」 「れいむの妹! まりさしっかりしてね! おねーちゃんに任せてね、ゆっくり……ゆげぇぇっ!! じょっぱいっ! ゆ゛……お゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛……」 二匹が泣いたり、吐いたりしている間にも海水はみるみる侵入して来る。そして、むらさの攻撃もやむことはなかった。 「やじゃよおおお!! やじゃよおおお!! 海さんをわだれば! れいむはゆっぐり、ゆっぐりできるんだよぉぉぉっ!!」 「ゆっびゃあああっ!! ゆ? こうなったらまりさだけでもお帽子に乗って逃げるんだじぇ!!」 ここに来て自分の帽子があることを思い出した子まりさは、沈み行く容器を見捨てて、帽子で脱出しようとした。 「まりじゃああっ!! おねえじゃんもだじゅげでぇぇぇっ!! ゆびっ!?」 必死に子まりさの帽子に乗り込もうとする長女れいむを、子まりさは櫂で押し返した。 「だめだじぇ!! これはまりさの帽子だじぇ!! お姉ちゃんも助けたら二人とも永遠にゆっくりしちゃんだじぇ!!……ゆ?」 だが、子まりさの帽子の先端も、むらさによってあっという間に齧り取られ、浸水が始まっていた。 「まりじゃあああ!! おねえじゃんを! おねえじゃんをだじゅげでぇぇっ!! ゆぼっ!?」 「どぼじでまりじゃのおぼうじじゃんあながあいでるのおおおおっ!! ゆんやぁぁぁっ!! おねえじゃんだじゅっ!! ゆぴぴっ!?」 帽子から再びカップ麺容器に逃げようとした子まりさと、現状把握できずになんとか子まりさの帽子に乗ろうとした長女れいむは、絡まるようにして、海に落ちた。むらさ達はその様子を見届けた後、静かに海中に去って行った。 沈んでゆくまりさの餡子をついばむ魚がいた。 南方から海流に流れてやって来て、帰ることも、新たなる生を育むこともできず、ただ異郷で最期まで必死に死を待つだけの魚。 死滅回遊魚。 ~ 遠い海から来たゆっくり 完 ~ 作:神奈子さまの一信徒 お帰りなさいと声をかけていただいた方、わざわざ感想を書いてくださった方、ありがとうございました。 久しぶりに書いてみたくなったので、リハビリのつもりで一作書いてみた次第です。 少しでもゆっくりしていただけたのでしたら、幸いです。 最後まで読んでくださった皆様、素敵な作品を投稿してくださっている絵師・作者の皆様、餡庫、wikiなどの管理をしてくださっている皆様にゆっくりした感謝を。
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2024年02月16日22時21分のバトル キャラ名 作者 体力 TYPE LIFE 勝利数 走れメロス BOSS 40 堅守高速 1 4 あ おかか 20 攻防強化 1 0 トラウマガメラ 戒 22 攻撃重視 1 0 きゃる 桐藤ナギサ 20 攻防強化 1 0 第2125回D-BR杯がスタートです! 現在走れメロスがタイトルを3回防衛しています! 挑戦者がタイトルを奪取するのか、チャンピオンが防衛記録を伸ばすのか!? 走れメロスの攻撃!(命中率95%/会心率5%) 走れメロス、連続攻撃!!! 走れメロス 「メロスは激怒した。」 あに3のダメージをあたえた!! あに2のダメージをあたえた!! 残り体力( 走れメロス 40 , あ 15 , トラウマガメラ 22 , きゃる 20 ) きゃるの攻撃!(命中率6%/会心率5%) きゃる 「トゥ!!トゥ!ヘァー!」 走れメロスは素早くかわした。 走れメロス 「罪の無い人を殺して、何が平和だ。」 残り体力( 走れメロス 40 , あ 15 , トラウマガメラ 22 , きゃる 20 ) トラウマガメラの攻撃!(命中率85%/会心率5%) トラウマガメラ 「皆消す、コロス…コロス…!グォオオッ!(きゃるにプラズマ火球を鬼連射)」 きゃるに11のダメージをあたえた!! きゃる 「え?」 残り体力( 走れメロス 40 , あ 15 , トラウマガメラ 22 , きゃる 9 ) あの攻撃!(命中率8%/会心率5%) あ 「これをこうして♪」 走れメロスはゆうゆうとかわした。 走れメロス 「罪の無い人を殺して、何が平和だ。」 残り体力( 走れメロス 40 , あ 15 , トラウマガメラ 22 , きゃる 9 ) 走れメロスの攻撃!(命中率95%/会心率5%) 走れメロス 「メロスは激怒した。」 あに4のダメージをあたえた!! 残り体力( 走れメロス 40 , あ 11 , トラウマガメラ 22 , きゃる 9 ) きゃるの攻撃!(命中率95%/会心率12%) きゃる 「トゥ!!トゥ!ヘァー!」 トラウマガメラに10のダメージをあたえた!! トラウマガメラ 「ヤラレ…ルカァ…ッ」 残り体力( 走れメロス 40 , あ 11 , トラウマガメラ 12 , きゃる 9 ) トラウマガメラの攻撃!(命中率89%/会心率7%) トラウマガメラ 「皆消す、コロス…コロス…!グォオオッ!(きゃるにプラズマ火球を鬼連射)」 きゃるに13のダメージをあたえた!! 残り体力( 走れメロス 40 , あ 11 , トラウマガメラ 12 , きゃる -4 ) きゃるのLIFEは0になった! きゃるはプラズマ火球で消し炭となった・・・ きゃる 「オ、オレヴァ....」 あの攻撃!(命中率12%/会心率8%) あ 「これをこうして♪」 走れメロスはゆうゆうとかわした。 走れメロス 「罪の無い人を殺して、何が平和だ。」 残り体力( 走れメロス 40 , あ 11 , トラウマガメラ 12 ) 走れメロスの攻撃!(命中率95%/会心率9%) 走れメロス 「メロスは激怒した。」 トラウマガメラに2のダメージをあたえた!! トラウマガメラ 「ヤラレ…ルカァ…ッ」 残り体力( 走れメロス 40 , あ 11 , トラウマガメラ 10 ) トラウマガメラの攻撃!(命中率95%/会心率20%) トラウマガメラ 「皆消す、コロス…コロス…!グォオオッ!(あにプラズマ火球を鬼連射)」 あに11のダメージをあたえた!! 残り体力( 走れメロス 40 , あ 0 , トラウマガメラ 10 ) あのLIFEは0になった! あはプラズマ火球で消し炭となった・・・ 走れメロスの攻撃!(命中率95%/会心率11%) 走れメロス 「メロスは激怒した。」 トラウマガメラに4のダメージをあたえた!! トラウマガメラ 「ヤラレ…ルカァ…ッ」 残り体力( 走れメロス 40 , トラウマガメラ 6 ) トラウマガメラの攻撃!(命中率16%/会心率24%) トラウマガメラ 「皆消す、コロス…コロス…!グォオオッ!(走れメロスにプラズマ火球を鬼連射)」 走れメロスはゆうゆうとかわした。 走れメロス 「罪の無い人を殺して、何が平和だ。」 残り体力( 走れメロス 40 , トラウマガメラ 6 ) 走れメロスの攻撃!(命中率95%/会心率13%) 走れメロス、連続攻撃!!! 走れメロス 「メロスは激怒した。」 トラウマガメラに3のダメージをあたえた!! トラウマガメラに2のダメージをあたえた!! トラウマガメラ 「ヤラレ…ルカァ…ッ」 残り体力( 走れメロス 40 , トラウマガメラ 1 ) トラウマガメラの攻撃!(命中率33%/会心率56%) トラウマガメラ、会心の一撃!!! トラウマガメラ 「ギャオス共々滅してやるわ!!(極大ウルティメイトプラズマを走れメロスに向けて発射))」 走れメロスに47のダメージをあたえた!!←そ、即死!? 残り体力( 走れメロス -7 , トラウマガメラ 1 ) 走れメロスのLIFEは0になった! 走れメロスは極大ウルティメイトプラズマで消し炭となった・・・ 走れメロス 「ありがとう、友よ。」 勝ち残ったのはトラウマガメラです! トラウマガメラが見事にD-BR杯を制覇しました! トラウマガメラ 「人間もギャオスも皆消す、次に消されたい奴はどこだ!」 走れメロス 2024/02/16 メロスは激怒した。 名前の通りにトラウマを植え付けられたからだ。 何故こうもBOSSにトラウマを植え付けられるか、 BOSS連合はそれを考えることにした。 by.Donald-2nd-R
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◆月姫を動作させてみた 月姫(TYPEMOONの同人ゲームです。18禁) LII(T-01Aで動かすためのソフト、今回はlii039.zip を使いました。) sartool(T-01A向けにソフトを最適化するのに使う) MP3作成ソフト(CDからMP3を作れればよい。) ■ソフトの準備 01,普通に月姫をインストールする。 02,sartool59を解凍して出来たフォルダにSarAll.exeが入っているのでWクリックして起動する。 03,月姫のインストールフォルダを指定すると1個だけ選択できるファイルがあるはず。 04,選択したら開始ボタンを押す。(特に設定は弄らなくても大丈夫) 05,PCの月姫フォルダにgraph.sar、music.sarが作成される。 06,lii039.zipを解凍する。 07,フォルダの中にPPCarmフォルダがあることを確認 08,月姫フォルダからPPCarmフォルダにgraph.sar、music.sar、nscript.datをコピーする。 ※nscript.datは月姫インストール時に作成されています。 ■動作確認 01,上記で作成した3つのファイルの入ったPPCarmフォルダをT-01Aに移動する。 ※microSDを抜いてそこにコピーしてあげれば良い。日本語フォルダは使わない方が良いらしい。 02,T-01Aのエクスプローラを起動してLII.exeを実行。 03,date select と言う画面の中にさっき移動してきたファイル見えるはずなので選択してOKをクリック。 04,問題がなければ起動するはず。 ■BGMを鳴らす。 01,月姫のCDからMP3を作成する。(私はitunesを使いました、取り込みをMP3に変更して音質を128kbpsにした。) 02,出来たファイルをTRACK**.mp3にリネームする。(**にはトラック番号を入れる、必ず2桁で01,02,って感じで。) ※ちゃんと作成されていれば10個のファイルが出来ている。 03,CDというフォルダを作成して出来たファイルを全部放り込む。 04,さっきT-01Aに入れたPPCarmフォルダにCDフォルダを入れる。 05,動作確認と同じ方法で起動すると今度はBGMが鳴るはずです。 ■確認項目 ○音がならねぇよ! →T-01Aの音量0にしてないか? ○でも音がならねぇよ! →LII.exeを起動したときにoptionってあるから[音]って所を10にしろ。 ※なんかL2.iniを弄ると毎回直したりする必要がなくなるらしい。面倒くさくて試してないけど。 ○月姫持ってねぇよ →(´・ω・`)ションボリ ○月姫以外は出来ないのか →他にも出来る奴があるっぽい、やり方は同じみたいだから適当にググって試してください。 という感じでいつもながら、適当にがんばって。
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イライザ 「今回はマーガレットからだな。」 「肥料の扱い方を覚えて欲しいらしいぞ。」 「ほれ、マーガレットからプレゼントが届いてるぞ。」 「えーと、なになに……。」 マーガレット『お野菜ちゃんと育ててるかな?』 マーガレット『同じ場所の土で連続して作物を育て続けると、』 マーガレット『少しずつ、土が疲れていっちゃうんだ』 マーガレット『そんなときは肥料入れの出番!』 マーガレット『そしてそっちの草が肥料だね』 マーガレット『肥料入れに草を入れておくと、土が毎日元気になっていくんだ』 マーガレット『あ、肥料がからっぽでもその土を休ませればちょっとずつ回復するよ』 マーガレット『以上。フレイさんには簡単だったかな?』 「……だとさ。」 「まあ、試しに肥料入れに草を入れてみるといい。」 「肥料入れになんでもいいから草を入れるんだ。」 「よし、出来たな。それじゃ手紙の続きを読むぞ。」 マーガレット『ちなみに肥料は毎朝、土が使うから減っていくんだ』 マーガレット『もし雑草が余ってるなら、どんどん肥料入れに貯めるといいよ』 「……だとさ。」 「この肥料入れは畑に置いとくと便利そうだな。」 「よし! それじゃあ今回はここまでにしよう。」 「肥料がいくつか届いてるから、しばらくそれを使わせてもらいな。」 「じゃ、また次回な。」 依頼を達成しました!
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3投稿 れいむとまりさメイン 赤ゆ少々 話は短め あきしまいは出ない 他のSSと絵師設定に被りあるかも ↓それでもいいわよ。の賢者は進みましょう 俺の前には、焼け焦げた落ち葉の山 燃え尽きた黒い塊の底から、お目当ての物を掘り出す 「わーく。わーく。」 「わーく。わーく。」 2個のデカイ饅頭が、口から涎をだらしなく垂らしながら、俺の発掘作業を見つめている 「「ゆーん。たのしみだよーっ。」」 庭掃除で集まった落ち葉を燃やして芋を焼く 良くある秋の風物詩 「よーし。いい感じに焼けたな。」 「ゆわーい!まりさたちにそれをよこすんだぜっ!」 「れいむはあかちゃんいるんだよっ!いっぱいあまあまちょうだいねっ!?」 透明なケースの中で煩く騒ぐ、れいむとまりさの番 その顔は期待に満ち溢れ、ほくほくの焼き芋に視線が釘付けだ お兄さんは、そんなゆっくり達を無視して熱々の芋にかぶりつく 「ほふ。ほふっ!アチチっ!美味いっ!!!」 「うわぁーーーっ!?まりさのおいもさんがーーーっ!」 「なんでれいむにくれないのーーーっ!?」 苦痛の声を上げながら悶えるゆっくり達 それを見ながら食べる芋は、これまた格別ですな この番は、俺の飼いゆっくりではない 昨晩、庭の畑を荒らしていたアホ共を、華麗な舞で軽やかに捕獲 家に持ち帰り、『人間の畑を荒らすのはよくないよ?』と優しく諭したが…… 「おやさいさんはかってにはえてくるんだぜっ!」 「そんなかんたんなこともわからないのっ?ばかなのっ?しぬのっ?」 お約束の言葉を返してくるまりさ達 狩りをしていたら目の前に沢山の食べ物を見つけた。だから自分達の物にした そう言葉を重ねて、まりさ達は主張する でもね。その主張は通らないんだよ。まりさ 夜中にコッソリと進入して、計画的な犯行をしてるじゃないか? まりさ達は、とってもゆっくり出来ない、ゆっくりさんなんだね その日の晩は、まりさ達をケースに入れた状態で、台所に放置する事にした 庭に実っていた野菜をたらふく食った番は、寝息を立てて幸せそうに寝ている 俺はそれを横目に自室に入り、疲れた体を横にして床へとつく で、次の朝起きて様子を見に行ったら……、 「まりさたちのかわいいあかちゃんたち、とってもゆっくりしてるよーっ!」 「ゆっくりそだってねっ!」 一晩で子供を宿してるよ まりさは、やたらと体がツヤツヤさせながら、いい仕事したぜ!の表情で、赤ゆを見つめていやがる コイツが言い出しっぺの主犯か しかし……。こいつら、今の不利な現状が理解できないのか? 「ゆゆっ!まりさたちをここからだしてねっ!ゆっくりぷれいすにかえるよっ!」 「れいむはあかちゃんできたんだよっ!むーしゃむーしゃ。しないとゆっくりできなくなっちゃうよっ!」 なるほど。あの野菜が実る畑を、自分達のゆっくりぷれいすだと思っているのか 食べ物が豊富にあるから、赤ちゃん作っても大丈夫だと考えたんだろう しかし野生では、幾ら豊富な餌が確保されたからといって、秋口に繁殖行為はしない 越冬用の食料を赤ゆ達に食い尽くされてしまう為だ この番は、相当頭が悪いらしい 駆除する事に決めた。百害あって一利なし でも、趣味の農園とはいえ、タダ食いされた野菜の憂さ晴らしをさせて貰おうか 「……てな事で、こいつらの目の前で芋を食ってます。モグモグ。」 「だれにせつめいしてるのっ!?まりさわからないよっ!?」 「おいもさんれいむにもたべさせてーーーっ!?おなかぺこぺこだよっ!」 現時刻は夕方の4時。まりさとれいむは、朝から何も食べていない 頭から伸びる茎に大量の赤ちゃんを宿したれいむは、ゲッソリとやつれていた アホみたいに成っている赤ゆ達に、ガンガン養分を吸い取られてるらしい。ぶっちゃけ瀕死 まりさ頑張りすぎだろ。そんなに赤ゆはいらん 「れいむじっがりじでぇーーっ!?おでがいじばず!おいぼざんをぐだざいっ!」 「ゆーっ。まりさぁ………。」 ほくほくの芋を求めてまりさは叫ぶ 自分よりれいむか。泣かせるじゃねぇか 熱々の芋を少し千切って、まりさの口へと放り込む 「あふっ!?あふあふあふっ!ほふほふっ!しあわせーーーーーーっ!」 「ばりざぁーーーーーーっ!でいぶのぶんばでだべじゃっだのっ!?」 「……。あぁーーーーーーーっ!?うっかりたべちゃったんだぜーーーーーっ!」 「ゆわぁあーーーっ!ばじざのばがーーーーーっ!?」 よし。計画通り! これで家族間の亀裂が発生 お涙頂戴のドラマは展開されないぜっ! 「むしゃむしゃ!幸せーっ。」 俺はゆっくり達へ見せ付けるように、丸々一本の芋を平らげる 「もういっがいくだざいっ!おでがいじばずっ!?」 「いやー。食った食った。」 「ひどいよっ!ゆっぐじでぎないっ!?」 焚き火の中から回収した焼きたての芋を、まりさとれいむの透明ケースの前に、これ見よがしに積み上げていく 美味しそうな香ばしい匂いが、辺りに満ちる まりさはケースに顔面を押し付けて、口に入れようと無駄な努力に励んでいる れいむはもうヘロヘロだ。美味しそうな匂いにあてられて、腹から鳴り響く音が止まらない 「どぼじでおいぼざんだべれないのーーっ!?ばじざだじに、むーじゃむーじゃざれでよーーーっ!」 「れいむはおなかすいたよ……。なんだかおほしさまみえるよ。ゆへへへっ……。」 れいむがヤバイ領域に達してきた そろそろ妥協案を出さないと餓死するな 「この芋をその赤ゆ達と交換しないか?」 その申し出に、まりさ達は即座に飛びついた 俺の手には赤ゆが数個 「「「ゆっきゅちちていってねっ!」」」 全員で示したように声を揃え、元気良く挨拶をしてくる 「まりさたちのあかちゃんかわいいでしょっ!がつがつっ!」 「しあわせにしてあげてねっ!がふがふっ!」 狭いケース内で、赤ゆと交換した芋を貪り食らう親ゆ達 とりあえず空腹での餓死は免れた。と、だらしなく腹を突き出して仰向けになっている うん。熱湯ぶち込みたい位の醜悪さだ 「ゆん?れいむのせくしーさにめろめろなのっ?だめだよっ!れいむあかちゃんいるんだよっ!」 「まりさのれいむにいろめをつかうなっ!くそじじいっ!ぼこぼこにされたいのかっ!」 「だいじょうぶっ!れいむにはまりさだけだよっ!」 「ゆん!かわいいこといってくれるぜっ!すいーとはにーっ!」 「「すーりすーりっ!しあわせーっ!!!」」 ジャボジャボジャボ……… 「「あづぅうーーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!?」」 熱湯をぶち込む 当然の行動だと思います お湯を何処から取り出したのかは企業秘密だ 「あづいっ!あづいよーーーっ!ゆっぐぢでぎないっ!」 「ゆわぁーーーっ!?あがぢゃんがびじょびじょだよっ!」 れいむの体に掛けたお湯が跳ね、頭の茎に実る赤ゆ達に飛び散ったらしい 茎にぶら下がる赤ゆが苦しそうに呻きだす。プルプル震えて今にも生まれて来そうだ 「だめだよっ!?うまれちゃだめだよっ!」 地面に着地する際の衝撃に、今の濡れた足では耐えられない 生まれた瞬間。全部の赤ちゃんが、ずっとゆっくりする事になってしまう おろおろと焦るれいむ 「にんげんさんっ!かわいいれいむのあかちゃんたすけてねっ!?」 人間に助けを求めたれいむ まりさは、あぼあぼ言ってて使い物にならなかった為だ ゆっくりと養子に出した人間さんなら、姉妹を快く助けてくれるはず そんな希望を胸に、れいむは人間に声を掛ける だけど視界に入れた人間は、貰った赤ちゃんを虐めている姿だった アルミホイルで赤ゆを包む ゆっくり出来ない雰囲気を感じ取った赤ゆ達は、ゆわんゆわんと泣き喚く 「なにをしてるの!?やめてねっ!こわがってるよっ!?」 「俺のなんだから好きにしていいだろ。」 「れいむのあがぢゃんだじに、ひどいごどじないでねっ!?」 「芋で売った赤ちゃんだろーが。よっと。」 「「「ゆゆゆっ!?にゃんじゃかあちゅくにゃってきちゃよっ!」」」 燻る焚き火の上に、ホイルで包んだ赤ゆを乗せる 火の気の無い焚き火程度では急激に熱くなる事は無く、ジリジリとホイルの底を焦がし始める 「「「あぢゅい?……あじゅいよっ!?ゆんやぁーーっ!みゃみゃたちゅけてぇーーーっ!?」」」 「おぢびじゃーーーーーーーーーーーーん!?」 「ゆっきゅちうみゃれるよっ!」 「ゆぇえぇっ!?」 この混沌の中、茎の赤ゆが大きく目を見開いて、この世界へと生れ落ちる 今、この時、新しいオンリーワンのゆん生が始まり 「ゆぶぇちっ!?」 早々に終わった 「あっ……?あがじゃーーーーーーんっ!?どぼじでぇーーーっ!」 緩くなった赤ゆの足が、ケースの底面でグチャグチャに潰れて絶命した 次々と続いて赤ゆ達が生まれ落ちても、皆、同じような末路を辿る それを見た赤ゆ達は、落ちない様に必死に耐えるが、れいむの体が振動してる為に堪えきれない赤ゆが続出した 「あぁあぁーーーーっ!?あがじゃんだじゆっぐぢじでーーーーーーっ!?」 ケース底面に黒い花が次々と咲いていく。れいむは泣きっぱなしだ 養子に出した赤ちゃん達が非道な目にあった今、もうれいむの子供はこれしか残されていない もう、形振り構っていられない 憎い人間に助けを求めるしか無いのだ 「だずげでーーーーーーっ!にんげんざんっ!?」 本日、何度目になるか解らない咆哮を、喉の奥から搾り出した れいむの下で炎が踊る パチパチと目の前を火の粉が舞った 「ゆー。ゆっくりかわかすよっ!」 れいむは俺に持ち上げられながら、ご機嫌な声を出す 「つぎはまりさだよっ!まりさなんだぜっ!?」 まりさはケース内で、おしりを流れるようにスライドしている 底面に落ちていた我が子の残骸も、見事に横へと広がっていく ……あいつの頭。大丈夫なのか? 「ゆー。おからだがぱりぱりさんになってきたよっ!ゆっくりあんしんだねっ!」 れいむの目の前にある一本の茎 先程まで多数の赤ゆが実っていたその茎には、1つの固体しか残っていなかった 最後の一粒種 れいむは大切な我が子に祝福の歌を口ずさむ 「ゆー♪ゆっくりのひー♪すっきりのひー……。」 「あっ。ヤッバ……。」 「ゆっ♪あ?じぃいぃーーーーーーーーーーーーーーーーーっ♪♪♪」 ツルッと滑ったれいむは、焚き火へと直撃コース! 燃え盛る火炎の中に放り込まれたれいむの足は、あっという間に黒く焼け焦げていく 「ゴメーン。手が滑っちゃった。」 「だずげでぇーーーーーーーーっ!おでがいじばずぅーーーーっ!?」 「……手を入れると熱そうだよな。どうしよ?」 「あぁあぁーーーーっ!?でいぶのがわいいざいごのあがぢゃんがぁあぁーーーーーっ!」 最後の希望が燃えていく 『もっちょ……ゆっきゅち…ちた…きゃ……』 れいむは赤ゆの遺言を耳にして涙が溢れる。そして、赤ゆの遺体が茎から千切れて、炎の中へと消えていく 黒い炭に変化した赤ゆだった物を見つめながら、同じ炭に変わっていく自分の半身を感じ取る 「ゆぁあーーーーーっ!おうじがえじだぁあぁーーーーーいっ!?」 れいむは全身を満遍なく焼かれて、赤ゆ同様に炭となってゆん生を終えた 「えーと。まりさもするんだっけ?」 俺が確認をしてみると、まりさがケースの中で、体がねじ切れる様なスピードを出しながら首を振り続ける 遠慮しなくいいのに 「ままままま。まりさはゆっくりかえるよっ!?」 「れいむは要らないの?」 「ゆわわわっ!?ばりざはだずげでぐだざいっ!おでがいじばずぅーーーーっ!?」 地面に転がる黒く染まったれいむの体から、まりさは目を背けて命乞いをする 「でいぶーーっ!?ゆっぐぢゆるじでねぇーーーっ!がわりにあがぢゃんいっばいつぐるがらーーーっ!」 いや。その条件では、れいむ確実に化けて出るから 「もう畑には入るなよ?わかったな?」 「ばいっ!ぼうばだげにばはいじまぜんっ!おやざいざんは、にんげんざんのものでずっ!」 (ゆっくり仲間を集めて報復にくるよっ!!!) ……とか思っていそうだな。凄く解り易い濁った目をしてやがる 「では、良い子のまりさにお土産をあげよう。」 「ゆゆゆっ?なかなかきのきくじじ……、にんげんさんだよっ!」 俺はまりさの帽子を奪い取る 「ゆっ!まりさのすてきなおぼうしゆっくりかえしてねっ!」 黒い帽子の中に物を一杯詰め込んだ後、ご希望通りに返してやった 「まりさのおぼうしにさわらないでねっ!まりさおこるよっ!ゆーんゆんっ!」 「ちょっと入れすぎたか。ちょっと溶けてきてる。」 「 ゆゆゆっ!なんだかあたまがあついよっ!ゆっくりできな………、 あああああっづいんだぜぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」 熱々のやき芋と焼きれいむを沢山詰め込んでやったぜ。ついでに焼き栗も入れといた 新しく焚き火を炊いてれいむを乾かす際、一緒に放り込んでおいたんだよね まりさは地面の上で、狂ったように跳ね回る 喜んでくれたようで良かった、良かった。 まりさの黒い帽子と、金色の頭髪が融合し始めたのは、俺の気のせいだろうな 原型を留めない位に溶けた帽子が、中身に詰まれた物体の重みに耐えられず、頭髪の一部と共に地面へとズレ落ちる 頭部の熱さから開放されたまりさ 目の前に転がる物体は、まりさが命より大切にしていた、金色が混じった黒いお帽子 「ゆあっ……。ゆぁあぁーーーーーーっ!?」 飾りが無いゆっくりは、群れに受け入れる事は無い 最悪の場合、同種同士間で始末対象にされるのだ 協力して報復どころの話では済まされない事態になってしまった 「たすげてくだざいっ!まじざのおぼうじもとにもどじでぇーーーーーっ!?」 まりさも情けない表情で、れいむと同様に懇願する 「勿体無いなぁー。」 お兄さんは地面に落ちた帽子とお土産を拾い、喚いているまりさの開いた大きな口に突っ込んだ 無理矢理詰め込んだら、なんとか入った。口の奥で歯が砕ける音がしたが、奥歯なら問題ないだろ 前歯が残ってれば、十分、十分。(根拠無し) 「はい。エンジン入りまーす。」 向かう方向を森に調整した後、苦しむまりさのあにゃるに、赤く染まる薪をぶち込む 一瞬まりさの動きが嘘の様に静寂する そして、次の瞬間 まりさはあにゃるから盛大に煙を噴出しながら、ゆっくりにあるまじき速度で森へと消えていった あ……。駆除するんだっけ?忘れてた まぁ、あの姿じゃ長く無いだろ。残り少ないゆ生を、楽しんでくれたまえ お兄さんは、消えた焚き木に上に置いてあるアルミホイルの塊を手にする 中には、ホクホクの赤ゆ達。1つ摘んで口の中へと放り込む 「うんめっ!これ、めっちゃうめっ!」 少々焼き過ぎたみたいだが、中々美味い お兄さんの秋の味覚が一品増えたようだ おわっとくか * あとがき(長いよっ!) 季節ネタ。ちと早過ぎたかな? 焚き火程度では、丸焼き余裕の火力は難しいと思うんだ 前作の話 裁きを申し付けるっ!マジで間違えた俺がまたやってきました 「訂正しようかな………。」とか思ったけど、「まぁいいやっ!」てな事で放置 「感想増えるかも!」の、嫌らしい考えなんて無いですよ?ええ、全くアリマセンヨ ある漫画の17巻?で得た知識を、そのまんま引きずった結果ですわ。無知って痛い もう1つ ゆっくり達は鏡文字くらいは読める!といいな 前作の感想色々参考になりました 多分、今回もおかしな所がわんさかあると思いますが、生暖かい目で見守ってください 最後まで読んで下さって、ありがとうございます